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英雄伝説〜運命が改変された少年の行く道〜(閃T篇)
第174話
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難ですし。」

「真冬でもここまでの積雪は珍しいから、興奮してしまったんだろうな……」

「そう言えば……前にも同じような事があったって話だったわね。何か、事情がありそうだけど…………」

「ああ……」

「お兄様?」

アリサの質問に重々しい様子を纏って頷いたリィンをセレーネは不思議そうな表情で見つめた。



「その、言い辛いのなら無理に聞かないわ。」

「いや……みんなにはいつか話そうと思っていた。聞いてくれ。」

そしてリィンは8年前の出来事を話し始めた。





「8年前の事だ…………エリゼとエリスの3人で、渓流遊びに来ていた日……今日と同じように、突然大雪が降り始めたんだ。慌てて郷へと戻ろうとする途中……俺達は熊のような魔獣に出くわした。



その時、俺はまだ9歳でエリゼとエリスは7歳だったから、当然魔獣と戦う術なんてなくて……俺は必死になって、二人を魔獣から庇う事しかできなかった。薄れていく意識の中、近づいて来る魔獣の足音だけが俺の耳に聞こえて来た……



このままじゃ……二人が危ない……!そう思った時だった…………左胸のアザが焔のようにうずいて……俺の視界は真っ赤に染まった……



気が付いた時、俺は血の海に立っていた……俺の手に握られていたのは、枝払い用に持って来ていた小さな鉈だった……そんな物を使って、たった9歳だった俺が巨大な魔獣を切り刻んだんだ……



それから俺は、自分の中に眠る”力”を畏れるようになった。いつかまた暴走して、今度はエリゼ達や周りの人々を傷付けてしまうのではないかと…………フウ……これが―――俺が未だに克服できていないトラウマさ。



みんなも知っての通りユン老師とセリカ殿に師事を受けた今でも、俺は自分の”力”を制御できていない……もしかしたら、次はみんなを傷つけてしまうかもしれない……そうなったら、俺は……!」

「リィン…………」

「お兄様……」

辛そうな表情で身体を震わせているリィンをアリサとセレーネは心配そうな表情で見つめた。



「ハハ………さすがに引いただろう?」

リィンは苦笑しながら仲間達を見回したが

「―――そんな事はありません。」

「へ?」

静かな表情で答えたエマの言葉に呆けた。



「フン、見くびるな!”その程度”の話を聞かされて、今更ひくわけがあるまい。」

「むしろ、こうして打ち明けてくれたのが素直に嬉しいかな。」

「同じく。」

「はい、わたくしもお兄様の”パートナー”としてお兄様の過去を知れて嬉しかったですわ。」

「え……」

仲間達の言葉にリィンは呆け

「ま、そう言う事。」


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