MR編
百四十二話 向き合う覚悟、失う覚悟
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るから!お兄ちゃん呼んできて!」
「はいはい、手だけは切るなよ〜」
「切らないもん!」
癇癪を起したように喚く従妹に苦笑しながら、涼人はリビングの方へと向かう。リビングでは和人がパソコンを相手にウンウンと唸っていた。
「うーん……」
「何してんだよ、カズさん」
「ん?あぁ、飯出来た?」
「うんにゃ、まだスグが刺し身に苦戦中」
「そこは相変わらずか」
苦笑してパソコンに視線を戻す和人は、隣に座る涼人にパソコンの画面を見せる。
「こいつは……」
「今日の、ユウキさんに渡したプロープから得られたデータ。最適化の具合が見たくて、その辺りのデータだけ明日奈達にも了解取って収集させてもらったんだ」
「……なるほど」
頤を一つ掻いて、涼人はデータを見回していく。手を顎に当てて親指で下頬お掻くと、涼人は片をすくめた。
「今日一日にしちゃ、稼働時間が長いな」
「放課後も動きまわってたんだろうな、けどお陰で学習性能の具合も良いデータが取れたよ、今日1日はラグる心配もしてたんだけどそれも殆ど無かったし……正直、兄貴には完敗だ、このプログラムは、俺じゃ組めない」
「あたぼうよ」
気を良くしたようにニヤリと笑って、涼人はデータを閉じた。
「元々、ユイ坊のためにって組んだんだからな、これぐらいはやるさな」
「叔父バカかよ」
「親バカのお前に言われたくねえよ」
カラカラと笑いあってそんな話をする二人は、共同で作った作品が役立つ事を純粋に喜んでいた。ただ……
「まあ、なんだな」
そう思いつつも、涼人の表情にどこか陰がある事も、和人は敏感に感じ取っていたが。
「んな叔父バカ親バカで作ったもんが、こういう役立ち方すんだから……全く、わかんねえもんだ」
「だな……」、
イイながら、和人はカタカタとキーボードを操作し始める。その姿を眺めながら、和人はふと涼人に聞いた。
「なぁ、兄貴」
「んー?」
「……明日奈となにかあったか?やっぱり」
「……俺、そんな顔に出る達じゃなかったと思うんだがな……」
若干自信を無くしたといわんばかりに、涼人がこめかみを抑えて軽く頭を垂れた。これを言われるのは今日だけですでに二度目だ、昨日の今日でこれである。どれだけわかりやすく情けない顔をしているというのか、後で鏡を見てみたくなる、いや、あるいは見たくないのかも。
「っはは……まぁ、俺も今まで兄貴の事が顔見てわかったこととか、そんなに無いけどさ……けど、今のはな、明日奈も機能兄貴と出かけてたはずなのに、兄貴の話題避けてるみたいだったし、な」
「あー、……腑抜けたのかねぇ」
SAOに居た頃の自分は、心情を表に出すようなことはしなかったはずだ。誰が敵で誰が味方かわからない、場合によっては命すら係わるあの世界では、表情を無暗に
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