戦争とは外交の一形態である
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人の書類に目を通す。
衛宮切嗣。
聖杯戦争から五年後に病死。
彼は養子を取っていたが、その養子は未成年だったために死亡届等の処理は冬木の暴力団藤村組組長である藤村雷画の手を借りていた。
表だけ見ても怪しいことこの上ない。
「遠坂時臣については、一応説明がつけられますよ。
明かしていい情報として開示しましょう」
私の存在理由はこんな所にある。
神秘をぼかしながらも、表側への利益供与。
だからこそ、皆私に一目おいているのだ。
私は魔術刻印の話をする。
魔術師が代々引き継いで根源を目指す証で、彼につけられていた刻印は娘の遠坂凛に受け継がれていた。
移植には当然儀式がいる訳で、聖杯戦争後のごたごたでそれができる訳が無く、必然的にずらされたと考えるのだ妥当だろう。
「という事は、嬢ちゃんもその魔術なんとかとやらを持っているのかい?」
ある意味当然の質問に、私は苦笑して用意していた答えを口にした。
「そんなものが無いからこそ、私達は表で占い師なんてやっているのですよ」
と。
魔術刻印なんてのが無くても、私は魔法が使えるなんて言うつもりはまったくなかった。
「で、そんなのを持っていそうな人たちを集めてどうするつもりなの?」
若宮分析官がうまく私達の話に加わってくる。
今回は行政側の色々な事を彼女にお願いしているから、結構頭が上がらないのだ。
必然的に説明も丁寧にならざるを得ない。
「そりゃ、戦争なんですから、まずは『外交』から始めませんとね。
柏原さん。
確認お願いします」
冬木の地で工作をしてくれている柏原さんの部下によって映されているモニターには穂群原学園の校長室が映り、そこの生徒達が集まっている。
遠坂凛、間桐慎二、間桐桜、衛宮士郎、沙条綾香の五人。
彼らを呼びだしたのは学校の校長で、もちろん若宮分析官の根回しである。
「ご苦労様です。
校長先生。
ここからは、生徒達と話をしたいので。
ええ。
教育委員会の方には、私から先生の功績はちゃんと伝えるつもりですので……」
下手に冬木に行けば聖杯戦争に巻き込まれかねない。
ならばどうするか?
人を使い科学の力に頼ればいい。
学校の校長室を使ったのは、そこが個室で電話があるからだ。
「はいどうぞ。
絵梨ちゃん」
「こちら柏原。
校長が部屋から出たのを確認した」
若宮分析官から受話器を受け取り、ボイスチェンジャーボタンを押す。
この時の為に、校長室の電話機はオンフックのファックスつきに変えているのだ。
では、私の聖杯戦争を始めよう。
「はじめまして。
魔術師の皆さん」
その第一声にモニター
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