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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-40
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ヶ月か前に起こったラウラ・ボーデヴィッヒの事件のことは覚えているかな?」
「ラウラの? ……いや、分からない。確かあのときは侵入者が来て、私はすぐに避難させられたはずです」
「ふーん、じゃあほとんど知らないのね。それはあいつらにでも聞けば分かると思うから、私からはそれが何であるかだけの説明だけするね。そのファイルソフトはねVTS……ヴァルキリートレースシステム(Valkyrie-Trace-system)。その力がどう働くかは私にも分からない。一つだけいえるのは使ったら最後、だよ」
「……どうしてこんなものを」
「えー? だって、敵が勝手に自爆してくれたらそれだけでありがたいと思わない?」


 そういう束の表情はとても綺麗だった。綺麗だったからこそ、箒はぞっとするしかなかった。
 もう自分の姉は、昔のように優しいところもあったような姉ではなくなっていると。


 ◯


 クラリッサ・ハルフォーフは悩んでいた。このままでいいのかと。


 自分たちが所属していたシュヴァルツア・ハーゼは、ラウラ・ボーデヴィッヒを隊長としてその副隊長以下隊員たちは彼女を支えるために居たはずなのだ。なのにいつの間にか隊長が入れ替わっていた。
 何かドイツ軍内で問題があったことには気づいていたが、まさかラウラ隊長のことだとは思わなかった。彼女は兄と慕っていた見袰衣蓮のことを決して裏切ることはしないし、国にも愛国心を持っていたが、いざとなれば愛国心を捨ててでも蓮について行くと決めていたのに、聞いた話では記憶をほとんど失っているようであった。


 何のために頑張ってきたのだろうか。私たちシュヴァルツア・ハーゼはラウラ隊長を支えるために存在していたはずなのに。そしてクラリッサの悩みは部下の隊員たちも気づいている。それぞれ意思を持っているだろうが、みんな私の選択を待っている。


 しかし、ドイツ国内には今更戻れない。もう国を捨てた売国奴としてドイツ国内で知られているはず、戻ったときには見つかり次第撃ち殺されるだけ。こうなるとやはりラウラが保護されているIS学園しかない。いずれにせよクラリッサの考えは八割方決まっていた。


 このとき一夏たちにとって幸運だったのは亡国機業も一枚岩ではなかったこと。不運だったのは一枚岩ではないことをすでに認識した上で亡国機業が作戦行動を取っていたことにあった。
 事態が動くのはそう遅くはないと学園側も亡国機業側も読んでいた。









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