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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-40
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、箒にとって姉である束は憎しみの対象でしかない。家族をばらばらに引き裂いた最低な女。そういう印象でしかない。
 なのに。


「なかなか強くなれない。強くなれたような気がしなくて行き詰まってんじゃないかなあって思ってねえー」


 どうしてこの姉は、自分の悩みをピンポイントで指摘してくるんだろう。だから、どこかでいやがっている自分が居ることを知りながら、最終的に姉の提案を全面的に受け入れてしまう。この専用機紅椿だってそう。突然かかってきた連絡に専用機がほしくないって聞かれて、ちょうどそのタイミングでほしいと思っているのだ。
 以心伝心? そんなわけがない。むしろあいつがどこから私を監視しているとした方がむしろ自然である。


「……そうですよ、その通りです」
「やぁっぱりぃ〜? さすが束さんだねっ、妹のことなら何でも分かっちゃうんだからっ」


 なんかいつもよりもテンションが高い気がする。気のせいかも知れないが、語尾に星がついているように感じる。でもある意味通常運転だった。


「でも、私はもう篠ノ之家の人間じゃないから」
「……えっ? どういうことですか?」
「そのままの意味だよ。私を産んだ両親が私と縁を切った。ただそれだけの話さ」
「じゃ、じゃあ、もううちとは……」
「そう、赤の他人。ついでに言っちゃえば、箒ちゃんのことも嫌いだったよ」
「…………」


 もう何が何だか分からなくなった。姉である束は両親から勘当されて、でも元々両親のことが嫌いだったからそれほどダメージを受けているようにも見えない。その上自分のことが嫌いだったと。驚きすぎて言葉が出なかった。
 箒は口をわなわなと震わせ、漏れるのは声にならない息。一度に受け入れられるキャパシティを超えてこんがらがっている箒には束が素の喋りになっていることに気づかなかった。


「まあ、この話は置いておいて、今は君が強くなりたいかって言う話だよね」
「…………」
「まだ戻ってきてないの? のろまだなあ。別にいいけどね、こっちで勝手に進めるだけだし」
「……え、あ、え?」
「元姉として最後のアドバイス的な感じかな。いや、プレゼントでいいや。はい、これあげる」


 そんな軽い言い方とは裏腹に送られてきたのは相当容量の大きいファイルソフト。タイトルはなくて、いったいなんだか分からないまま、渋々箒は束の話を聞かなくてはなかったのだ。まだ先ほどの衝撃から抜け出せてないため、必然ともいえる。
 ここでいえるのは話の主導権を束に渡してしまったことが、彼女の大きな過ちだった。それが後にどのような影響を与えるかは、誰にも分からない。


「……これは?」
「私としてはこんなものすぐに捨てちゃいたいんだけどね、そうは言ってられないから……何
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