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IS インフィニット・ストラトス〜普通と平和を目指した果てに…………〜
number-40
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わね」
「そんなんじゃないさ。おまえらには代わりはいないからな」


 それから何も言わずに彼女は出て行った。すぐに動くとのことであるため、集めに行ったのだろう。心配はしていないが、暴走しないか不安ではある。向こうはまだこちらの顔を知れてないから、自分から顔ばれさせるようなことはしなくてもいいのだが、別にかまわないと判断した。


 思わぬ形で次の動きが決まった今、彼を悩ませているのは束の所在だった。彼女は一昨日にどこかにふらっと出て行ったきり戻ってこないのだ。あまりにも長いと探しに行かないといけないのだが、今回はすぐに戻ってくると彼は考えている。
 おそらく妹との関係に決着をつけに行ったのだろう。どうあれ、戻ってきたら優しく迎えてあげるだけだ。


 ◯


 場所は変わってIS学園のアリーナ。ここでただ一人ぼろぼろになりながらISを身にまとい、縦横無尽に空をかけていた。その機体が織りなす赤い軌跡は、薄暗くなったあたりにぼんやりと浮かび上がり、神秘的な印象を持たせる。


「はあっ……はあっ……」


 すっかり息が上がって、肩が上下に揺れているのは篠ノ之箒。彼女は新学期が始まってからこうして毎日夜遅くまでISの訓練に明け暮れるようになった。時々一夏とセシリア、シャルロットとも訓練を行うが、こうして体に鞭を打ってまでISに向かうのは彼女だけだった。
 いくらセシリアやシャルロットたちが休むように行っても聞く耳を持たず、疲労が蓄積しているのにもかまわずに機体に乗り続ける。


 それでも、自分が強くなっているかは分からない。そもそも何を持って自分が強くなったと実感すればいいのか分からない。周りに居る代表候補生を倒せば自分は強くなった? 学園の教師を倒せば強くなったことを証明できるのか? 全く分からない。
 彼女が目指している先には姉である束が居る。箒自身それに気づいてはいないが、無意識のうちに姉の位置まで上っていこうとしている。そしてそれは、世界最強、織斑千冬の領域に足を踏み入れることであって、それにすら箒は気づいていない。前提が違っているのだ。


 ――――。


 体が動かなくなり始めてそろそろ今日は切り上げようとISを解除して膝に手をついて息を整えているとISの個人通信(プライベート・チャンネル)に誰かから通信がつながった。
 目の前に展開されたディスプレイにはモニターが映し出され、その向こうにいる人が映し出される。相手を把握したところで箒は息を呑んだ。


「やあ、元気にしてたかな?」
「……今更何のようですか? 私からは話すことなんてありませんから」
「へえ、君はそう言うんだけど。束さんには用があるんだよねー」


 自分の実の姉である篠ノ之束だった。
 何を今更
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