第百七話
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使用不能とする。近づいてきた金属音は比喩ではなく、少し離れた場所にフード姿の妖精が、鎖鎌の持ち手を持っていた。
「くっ……この!」
「リズさ……ッ!」
結び目はキツくて簡単にはほどけず、リズとフード姿の男のメイスの引っ張り合いになるが、筋力値が拮抗しているのか動かない。ならばとリーファが鎖を切ろうとしたその時、何もなかった空間からゆらりともう一人の妖精が現れる。
「せやっ!」
フード姿――PK集団の一員だと瞬時に判断したリーファは、現れた顔を見せない妖精へと長剣を振るう。頭の先から真っ二つにするような、高速の唐竹割りにフード妖精の動きは止まり、右腕で剣を受け止めるかのような動作を取る。
「えっ……?」
何も持っていない腕を盾にしようが、リーファの剣は腕ごと全てを切り裂く。構わず面を取りに行くリーファだったが、長剣を通して感じた感触は鋼鉄。全身を隠すフードの為に気づけなかったが、フード妖精の右腕には鋼鉄のトンファーが握られており、もう片腕はキツく握り締められ
「っ――!」
「リーファ!」
上段を振り下ろして無防備となったリーファの腹に、トンファーを持ったフード妖精のパンチが炸裂し、たまらずリーファは吹き飛ばされる。そして今度はお前の番だとばかりに、鎖鎌で動きを封じられたリズに対して、トンファー持ちが素早く迫る。
「こんの……」
鎖鎌に繋がれた武器を捨てるか、それともトンファー持ちになすすべもなくやられるか――そんな嫌らしい二択をちらつかせながら、フードで隠しきれない嫌らしい笑みを見せる敵に、リズは自然と悪態をついてしまう。
「リズさん!」
ただし悪態をつくだけではなく。殴打で吹き飛んだリーファが放ったカマイタチが、鎖鎌の鎖を中ほどから断ち切ったことにより、リズとメイスは完全に自由となり。
「……ナメんじゃないわよ!」
力の限り振りかぶったメイスが、無防備に接近していたトンファー持ちへ、不意打ち気味に叩きつけられた。それでもトンファーでガードしてはみせたが、リーファの剣とはまた違う特性の打撃攻撃に、たまらずトンファーは砕かれコントロールを失い落下していく。
「さっきの分っ!」
ただしそのフード妖精には、そのまま落下することすら許されず。たまらず意識を朦朧とさせながら落下していくところを、コントロールを取り戻したリーファによる、彼女得意の高速飛翔からの一太刀が叩き込まれる。吹き飛ばされた位置から勢いをつけたこともあり、その一撃はあっさりとトンファー持ちをポリゴン片と化した。
「どんなもん、よ……?」
メイスをクルクルと回して鎖鎌持ちの妖精に向けるリズだったが、力を失ってガクリと膝をつく――大地はなく、途端に動きが鈍っていく。軽度
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