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SAO−銀ノ月−
第百七話
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「返り討ち!?」

 シルフ領に属する騎士と言えば、かの旧ALOにおいて世界樹攻略戦の際に、大きな力となってくれたメンバーだ。リズ自身は諸事情により、攻略戦の最中で抜けたものの――思い出したくもない――その強さは目の当たりにしていた。まさかPK集団などにやられる連中ではないと。

「何でも対人戦に凄い慣れてる様子で……しかも、魔法を無効化する、とか何とか」

 ここらへんはレコンも調べてるみたいだったけど――と、リーファの言葉は終わり。リズは素早く魔法無効化スキルなど持っていた武器を脳内検索するが、そんなスキル自体を初めて聞いたのとともに、魔法戦に慣れた旧ALOプレイヤーにはキツい縛りだと納得する。

「広まるのも時間の問題ね、そりゃ」

 確かに、出来ることなら隠したいスキャンダルではあったが、まさかシルフ領の精鋭が遅れを取った――などという大ニュースが隠せる訳もなく。リーファも当然それは分かっていて、友人もいるシルフ領に苦笑ていると……

「――――」

 ――フィールドの空気が変わる。気配や空気などと言うとショウキが得意とする世界だが、リズにリーファとてベテランのVRプレイヤーだ。周囲を纏う雰囲気やこちらに向けられる気配など、スキルを使わずとも何となくは察知出来る。

「……リーファが変な話するからよ」

「じゃあレコンのせいね……!」

 お互いに軽口を叩きながら背中合わせで止まり、二人は自身の得物たるメイスと長剣をストレージから手に加える。今し方までいたイグドラシル・シティと、目的地たるアインクラッドの間の最短空路に、モンスターが現れる箇所は存在しない。

 ともすれば、話題となっていたプレイヤーキラー。敵は自分たちと同じ妖精であることに間違いはなく、一気に転移門まで飛翔してもよかったが、転移中は無防備という厄介な特色までSAOから引き継いでおり。転移する瞬間に大魔法を放たれては、目も当てられない事態になるのは火を見るより明らかだ。

「…………」

 敵の姿は見えない。ただし敵は確実にいる。その矛盾した事態に対し、レコンのような《透明化》の魔法でも使っているのか――とは推測出来るものの、斥候役をそれぞれショウキとレコンに丸投げしてきたリズとリーファには、相手が接近してくる以外にその魔法を見抜く術はない。

「……帰ったら謝っとくわ」

「……わたしも、今度会ったら」

 こんなことなら覚えておけばよかった――と、恐らくは果たされることのない約束を呟きながら、二人が反省しだした頃合いに。鎖が鳴るような金属音とともに、遂に気配が動きだすと、反射的にリズはその方向にメイスを叩きつけた。

「……は!?」

 ――するとリズのメイスに鎖鎌が巻き付いていき、しっかりと結びついてメイスを
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