第百七話
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るにもかかわらず、アスナの様子が少し変だということには気づいていたらしく。……そうなると気になるわけで、『こっちの彼』はどうかしら――と、リズはチラリとショウキの方を見てみると、何やらレインと二人きりで話し込んでいた。
「……むぅ」
こんな小さな何でもないことだろうと、少しだけ嫉妬を覚えてしまうことを自覚しながら。とりあえず割り込んで話に入ろうとした瞬間、突如としてレインの姿が忽然と消えていた。
「どうしたの?」
予定とは違ったがショウキに話しかけたものの、彼本人もまるで分かっていない様子でいて。あまり平時には表情を表に出さない彼だったが、今回ばかりはハッキリと表情に疑問の色が浮かんでいた。
「様子が変だから話しかけてみたら、用事があるからって慌ててログアウトだ」
「ふーん……」
どうしたか疑問に思わなくもなかったが、誰にだって急な用事の一つや二つはあるだろう。本人がいないところで確かめようもなく、リズはそれ以上気にしないことにして。ひとまず考えていたことのために、ストレージやメニューを開いて状況をチェックする。
「……どうした?」
「ほら、本格的にアインクラッド攻略するようになったら、いちいちここに集まってたら時間が無駄じゃない?」
気になって覗き込んできたショウキについて、リズ自身が考えていたことを胸を張って説明する。確かにこのイグドラシル・シティは、浮遊城と地上を繋ぐ唯一の町であり、そのかいあって人通りは最も多い。ただし浮遊城に行くにあたっては、いちいち空中の転移門まで飛翔する必要があり、ここを攻略の活動拠点にするには不向きなことも確かだ。
「名付けて出張・リズベット武具店、よ!」
「そのまんまだな」
「……うっさい!」
出張というか二号店というか販売所というか。とにかく一時的な事業拡大ということで、浮遊城の中にもう一つのリズベット武具店を置く。新たな層の解放やシャムロックのこともあり、ここのところ随分と黒字経営なのも効いている。
「アスナを焚きつけたんだから、あたしもこんくらいはしないとね。じゃ……リーファ、ちょっと付いてきてくれる?」
「わたし? アインクラッドの中じゃ、他のみんながいいんじゃ……」
「ALOのベテランの意見が聞きたいの!」
躊躇するリーファの背中を無理やり押しながら、リズもまた自身の店の外に足を踏み入れた。暇なのか付いて来そうなメンバーもいたが、そんな大所帯になるのもはばかられるので、それは謹んで遠慮してもらうことにして。
「それじゃショウキ、店番頼むわよー!」
適当に手を振ってみせている彼に店を任せながら、リズはしょうがないなぁ、という表情をしたリーファとともに空中に躍り出る。目指すは浮遊城に入
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