第百七話
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ではあるが、この症状には覚えしかなく。
「麻痺毒……いつのまに……!?」
「そこっ!」
プレイヤーの動きを極端に鈍らせる麻痺毒。気づかぬ間に軽度ではあるがリズは状態異常とされ、周囲を見渡したリーファは素早く空中を切り裂くと、光によって隠蔽されたクナイが真っ二つとなった。
「次は……!」
「あら。そっちの剣士はなかなかやるのね」
リーファが今度はどこから来るか警戒していると。鎖鎌を持ったフード妖精の隣に、先程リーファが断ち切ったクナイと同じものをペンのようにクルクルと手で回す、同じくフードを目深に被った妖精の姿があった。ハスキーな高音が響くその声は、明らかに女性プレイヤーのもので。
「女の子ならお友達になりたいとこだけど……まあ無理よね……」
「そ、そうだリズさん! ヒール!」
軽度な麻痺を直すヒールならリーファにも使える。長剣を二人のフード妖精に構えて威嚇しながら、リーファは出来うる限り早口で呪文を唱えていき、それをフード妖精は邪魔することなく眺めていた。ただしニヤニヤとした笑みが、やはりフードの奥で隠しきれずにいて。
「スー・フィッラ・ヘイ――!?」
ヒールの呪文が完成する直後。リーファの周囲に浮かんでいた呪文の文字が、瞬間的に粉々に砕け散っていた。そんな見たこともない状況に、リーファは素早く先程のリズとの話を思い出す。
魔法無効化――
「あなたはシルフの人たちより手強いかしら?」
――シルフ領で活動していたPK集団。ペン回しをしていたクナイを射出し、リーファは思うように動けないリズを守るように立ちはだかりながら、こちらに銃弾のように向かってくるクナイを切り裂いた。
「それそれそれっ!」
ただしその隙に女性のフード妖精の接近を許し、フードに隠していた忍刀がリーファへと迫る。軽い女性プレイヤーの声とは対照的に、死角から死角へと鋭い連撃が放たれる。リズを守ることにより動けないリーファは、得意の高速戦による剣術を活かせず、魔法を使うことも出来ずに防戦一方となる。
「このままじゃ……っ!」
ついに口から苦悶の声が出たリーファに追撃が放たれ、忍刀が首筋に迫り来る――より早く、フード妖精の前にいたシルフの妖精は、瞬時にレプラコーンとなっていた。
そこには、青い鱗に覆われた小竜が飛んでいて。
「スイッチ!」
長剣を弾かれて怯んだリーファを押しのけて、麻痺毒に冒されていた筈のリズが前に出る。完璧なタイミング――と思いながら振るわれたメイスだったが、女性のフード妖精には避けられてしまう。ただしそのまま離れていき、全員の近接武器の射程圏から離脱する。
「スイッチ? ……フフ、今のが、っと!」
「ええい!」
「ル
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