第108話
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〜リベール・エレボニア・メンフィル・国境付近〜
エステル達が到着する少し前、ハーケン門の内側では王国軍が集結しており、外側ではエレボニアの”蒸気機関”による戦車とエレボニア兵達の大軍が国境に集結しており、そいてそれぞれの軍を率いる将であるモルガン、ゼクスが2人の護衛兵を控えさせて、ある程度の距離をとって対峙した。
「説明してもらおうか!ゼクス・ヴァンダール中将!何故、このような場所に帝国軍の師団がやって来る!?締結されたばかりの不戦条約、よもや忘れたとは言わさんぞ!?」
ゼクスと対峙したモルガンはゼクスを睨んで怒鳴った。
「モルガン将軍……。説明していただきたいのはむしろこちらの方です。」
「なに……!?」
しかし静かに尋ね返したゼクスの言葉にモルガンは驚いた。
「先日より、帝国南部の街で導力器が働かなくなるという異常現象が続いている状態です。そしてそれは、謎の巨大構造物が貴国の湖上に現れてからという確かな報告が届けられています。これは一体どういう事ですかな?」
「……どういう事も何も今、お主が言った通りだ。我々も、突然現れた災厄に混乱しきっている状態にある。」
「どうやらその様ですな。そしてその災厄が帝国領土を侵しているのも事実。ならば、我々がここにいる理由も理解して頂けると思うのですが。」
「おぬしら……我らの弱味に付け込むつもりか?」
ゼクスの話を聞いたモルガンは静かに尋ねた。
「そのつもりはないと一応、言っておきましょう。異常現象に乗じて怪しげな犯罪組織が王国内で跋扈しているとも聞いています。不戦条約を結んだ同盟国として何とか力になれないか……。帝国政府としてはそのような意向のようです。」
「戯言を……。ならばその戦車は何だ!?蒸気によって動く戦車などわしは今まで聞いたことがない!どうしてそんな代物をこの状況で都合よく連れてきた!?」
「それは……軍事機密と申し上げておく。だが、この戦車があればこそ市民たちの不安を和らげられるし、帰国の窮状を救うことも適かないましょう。どうかご理解いただけませんか?」
「くっ……」
ゼクスの説明を聞いてモルガンが唸ったその時
「……お気遣いとても嬉しく思います。」
「!?」
聞き覚えのある声を聴いたモルガンが驚いて振り返った時、エステル達と共にいつもの学生服ではなく、貴族の服を着たクローゼがモルガン達の背後から現れ、クローゼはモルガンの横に並んだ!
「な……!」
クローゼの登場にモルガンは信じられない表情で驚いた。
(ひ、姫様!?どうしてここに!?)
(モルガン将軍、ご苦労様です。どうかこの場の交渉は私に任せていただけませんか?)
(で、ですが…
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