第107話
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で言い、真剣な表情のシェラザードは言った。
「いえ……どうやら導力機構を搭載していないタイプのようです。観察した限りでは『蒸気機関』で動いているとか……」
「蒸気……機関?」
報告を聞いたエステルは首を傾げた。
「えとえと……内燃機関よりも原始的な蒸気の力を使う発動機だけど……。オーブメントの普及と共にすぐに廃れてしまった発明なの。」
首を傾げているエステルにティータは慌てた表情で説明した。
「……そんな物で動く戦車などどの国も保有しているはずがない。導力戦車と比較するとあまりに経済効率が悪いからな。」
「ならば答えは一つ……。秘密裏に帝国内で製造されていたわけですな。」
「そ、それって……」
リシャールとジンの話を聞いたエステルは真剣な表情になり
「……この事態を見越していたということか。では、結社の連中が言っていた『次なる試練』というのは……」
「ええ……恐らくこの事だと思います。そして彼らは、今度の事件で王都を人質に取ってしまった。」
シードが呟いた推測にヨシュアは頷いた。
「その気になればいつでも王都を狙える……そういう意図もあったわけか。」
ヨシュアの話を聞いたリシャールは皮肉気な笑みを浮かべて言った。
「加えてもう一つ……。恐らく父は、あなたの存在を隠し札として考えていたはずです。緊急事態が発生した時に自分の代わりに派遣できるとっておきのジョーカーとして。ですが、そのカードはすでに切られてしまいました。」
「………………………………」
そしてヨシュアの推測を聞いたリシャールは唖然とした表情になった。
「”身喰らう蛇”……そこまで狙っていたのか。」
ヨシュアの推測を聞いたシードは重々しい雰囲気を纏わせて呟いた。
「……お祖母様。どうか私をハーケン門に行かせてください。」
「ええっ!?」
「クローゼさん!?」
「クローゼ……」
そして決意の表情のクローゼの申し出を聞いたエステルとミントは驚き、ヨシュアは信じられない表情で見つめた。
「ここで動かなかったら私たちを逃がすために負傷した小父様たちに申し訳が立ちません。必ずや、お祖母様の代理として帝国軍との交渉を成し遂げてみます。」
「……分かりました。不戦条約が締結されたとはいえ、リベールとエレボニアの間の天秤はいまだ不安定と言えるでしょう。今回の事件は、さらに大きな揺り戻しにつながりかねません。後1度、メンフィルに無条件での救援要請はできますが……もしメンフィルとエレボニアがぶつかり合う事になったら、リベールも巻き込まれるでしょう…………その天秤のバランス取り……どうかよろしく頼みましたよ。」
「……はい!」
女王とクローゼが話
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