第107話
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い。様々な経験を積んだリフィアさんと違って未熟な私には、王国全てを背負える力も自信もありません。それでも、私が王位を継ぐことで大切な人たちを守れるのなら……。そして、その事が結果的に王国を守ることに繋がるのなら……。―――そう思い至ったんです。」
「そっか……」
ヨシュアの疑問に静かに答えたクローゼの言葉を聞いたエステルはクローゼに近づいて、クローゼの手を握った。
「クローゼ、おめでとう!とうとう自分の道を見つけることができたんだね!」
「エステルさん……ありがとう。でも、まだまだ未熟ですし、自分に何ができるのかも判りません。困った時は……力をお借りしてもいいですか?」
「あはは!そんなの当たり前じゃない!第一、未熟なのはあたしたちも同じなんだし。」
「君が今まで僕たちを助けてくれたのと同じように……必要な時はいつでも力になるよ。」
「ミントやツーヤちゃんもいつでも力になるよ!」
「エステルさん、ヨシュアさん、ミントちゃん……。……本当にありがとう。」
(……自分の愚かさが今更ながらにこたえるな。未来を担う若者たちの可能性に気付くこともなく、あんな事をしでかしたのだから……)
(リシャールさん……)」
エステル達の様子を見て自嘲げに呟くリシャールをシードは静かに見つめた。
(ふふ、何を言っているのです。貴方だって、未来を担う若者のうちに入るでしょうに。)
(陛下……)」
(ご、ご冗談を……)
女王の言葉を聞いたシードは静かな笑みを浮かべ、リシャールは信じられない表情をした。
「も、申し上げます!」
その時、一人の親衛隊員が慌てた様子で謁見の間に入って来た。
「どうした?市街で何かあったのか?」
「い、いえ、そちらの方は何とか収拾がつきました。猟兵たちもことごとく王都から撤退した模様です。」
「………まさかロレントの方ですか?そちらの方はリウイ陛下達が守ってくれているので、大丈夫だと思ったのですが………」
親衛隊員の報告を聞いた女王は真剣な表情で尋ねた。
「い、いえ。そちらの方もグリューネ門の警備隊の報告によれば………結社の軍勢はメンフィル軍によって全滅させられたそうです。なお、メンフィル軍は猟兵達の捕縛は行わず……一人残らず殺害したそうです。」
「…………そうですか…………………」
「ぜ、全滅!?執行者達には冗談混じりに言ったんだけど、本当に滅ぼしたんだ……」
「さすがはメンフィルといった所か………」
「フフ、だから言ったでしょ?プリネちゃん達は強いって。」
親衛隊員の報告を聞いた女王は目を伏せて静かに頷き、エステルは驚き、ジンは真剣な表情で呟き、リタは可愛らしく微笑んだ。
「………
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