暁 〜小説投稿サイト〜
仮面ライター
第1話Aパート
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フォーマンスを考えれば腹にたまれば充分だと思い、汁まで飲み干した。

 昼ご飯を食べ、午後の講義も午前中と同じように過ごすつもりでパソコンを取り出した。コメントを返す前に少し適当な記事でも読もうと思いニュースサイトを開いた。
 どれでも変わらないだろうと思い一番上にあった記事をクリックする。
『市内で女性殺害。先日の数件と同一犯か』
 門司の住んでいる街での殺人事件の記事だった。ここ数日、立て続けに首を絞めた後女性がバラバラにされ惨殺される事件が発生している。さらにそれらは手口から同一犯による仕業が疑われているというものだった。死体は一部が食われており、奇妙なことに歯型がついていないのだという。
 不幸な人もいるものだ、と軽く流しながら続けて幾つかのニュースを見た後、普段通りのコメント返しに移った。

 4限が終わり、ぶらぶらと河川敷を歩いて帰路に着く。
 まったく今日も面倒くさいだけだったと思いながら、ふと川岸の方を見ると目を疑う光景が広がっていた。
 禍々しい緑の怪物が女性を追いかけていた。
一瞬、無視して去ろうとしたが今回は事情が違った。
 追われているのが今朝の人だったからである。別に何かができるわけでもないし、逃げても問題なかったが、あのライターの正体を知らないまま終わるのは癪だったのだ。
 何より、人間と関わるのを避けるようになっていた彼にとって怪物と関わった方が刺激的で創作に繋がると思ったからだ。

 一心不乱に坂を滑り降り、悲鳴が聞こえる方へと走る。
 女は腹から血を出し倒れ込んでいた。
 怪物がゆっくりと近づきつつあるところに門司は間に割って入っていった。
 間近で見ると、怪物は植物の蔓の様な物が巻きついた姿をしていた。口はないが、右肩には膨らんだ実がなっている。鈍い動きがより鈍くなったことから、門司が来たことに少し動揺しているようである。
「な、何しに来たのあなた!?」
「ちょっと聞きたいことがあっただけですよ」
鞄からライターを取り出し、見せる。
「これはどうやったら点きますか?」
 すると、女の顔つきが変わった。
「あなたが持っていたのね!?……いいわ。これを着けなさい!」
 女は這ってスーツケースまで手を伸ばすと、開いて中にあるベルトのような物を門司に投げた。
「なんだこれ?」
「いいから!腰に巻いて!」
 門司が着けると、ちょうど腹の下に当たる部分のベルトの装飾が喋った。
『LWRighterDriver!!Prease Fire!』
「うわっ!?」
「そのライターを使ってそこに火を点けて!」
「火を点けるって……さっきは点かなかったのに無理ですよ!」
「いいから!やりなさい!」
 なるようになれと思い、蓋を開いてボタンを押した。
 すると、勢いよく赤い炎
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