【SEED】ボンサイ操縦者のボヤキとアガキ
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はり初心者の実戦には想像を絶する緊張があったのだろう。結果だけ見ればザフト優位だが、パイロットの精神面では課題の多い状態だろう。さて、次は――と、気を引き締めた、その刹那。
『全軍に伝達!!左舷よりメビウス接近!数は一!予想以上に早い!ブースターか何かを後付して推力を底上げしていると思われる!至急撃墜せよ!!繰り返す、至急撃墜せよ!!』
その瞬間に俺が感じたのは、言葉で言い表すのが難しい『悪意』のような曖昧な感覚。
何となく――本当に何となく、危険だと確信した。
「ハァ?たった一機かよ!確かに左舷は戦力が手薄とはいえ、トチ狂い過ぎだろ――」
「管制!!そのメビウスの装備は!?」
「お、おいカリグラ?」
怒鳴り散らすような俺の声にミゲルが怪訝な顔をするが、脳の裏がチリチリするような予感が消えてくれないのだ。メビウスの出現した場所から一番近いプラントはユニウスセブン。俺の予想が正しければ、あれの正体は――!!
『……ミサイルだ!リニアガンの代わりに大型のミサイルを……こ、これは!?』
レーダーに映るメビウスの速度が、ぐんと恐ろしい速度に上昇する。中のパイロットが失神しかねないほどの速度に左舷に展開していたMS部隊の対応が一瞬遅れ、メビウスが戦域を飛び抜ける。
「駄目だ……そいつは撃たせたら駄目だ!!」
「おい、落ち着けカリグラ!!どっちにしろ俺達の位置からじゃ間に合わないし、たかがMA一機だぞ!?何をそこまで怯えて――」
『か、核………核ミサイルだ!!あの腹に抱えているのは、核ミサイルだ!!撃墜しろ、一刻も早く!!』
「なっ………!?」
司令部から管制へ、管制から現場へ、余りにも遅すぎる情報の提示。しかして、望遠カメラはその姿をはっきりと捉えていた――メビウスが腹に抱える『核』のマーキングを。ヒステリックな叫び声をあげたその時には、既に連合のメビウスは防衛線を単騎で突破していた。
「馬鹿な!!連合は正気か!?あそこには軍事施設なんて一つもないんだぞ!?」
『やめろ……やめてくれ、ナチュラル!!そこには父さんと母さんが――!?』
『落とせ!!何でもいい、体当たりでもいいから落とせぇぇぇぇーーーーッ!!』
第一陣の犠牲も、第二陣の兆候も、全てはこの一筋の矢で砂時計を貫くために。
『青き、清浄なる……世界の、ために』
こちらの対応が追い付かないほどの鮮やかな奇襲。
放たれる核ミサイル。その飛来先に鎮座する、ユニウスセブン。
回線を飛び交う悲鳴、怒号、驚愕、絶叫。その全てがミサイルを止めることを叶えないまま。
見る物をぞっとさせる巨大な桜色の閃光が、ユニウスセブンを紙屑のように引き裂いた。
「あ………」
「嘘、だろ……」
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