第十話 弱さその五
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「昔から」
「栄養を摂る為にだし」
「それに好きだからか」
「うん、だからね」
それでというのだ。
「よくね」
「飲んでるんだな」
「今もね」
「それがいいな、そういえばな」
「そういえば?」
「酒は飲んでるのかよ」
龍馬は今度は丼を食べつつ優花に尋ねた。
「夜は」
「うん、そっちもね」
「酒もいいけれどな」
「食べながらだね」
「食欲ないのに飲んでばかりだとな」
「余計に悪いよね」
「これも御前が俺に言ったことだろ」
「胃への負担が多いからね」
優花もその事情は知っていて言葉を返す。
「だからね」
「飲むだけだとな」
「お酒はよくないよ」
「食うものも食ってな」
「そうしながら飲むといいんだよ」
「そうだよな、それは守ってるんだな」
「飲むにはね」
本当にとだ、また言った優花だった。
「食べながらだよ」
「ワインとかでもな」
「チーズとかソーセージをね」
食べつつというのだ。
「そうしていくといいんだよ」
「だよな、だから俺もな」
「うん、食べながら飲もうね」
「自棄酒は絶対に駄目だな」
「姉さんもかなり飲んでいても」
その時もというのだ、決心するそれまでの時の優子である。
「おつまみは忘れてなかったから」
「飲んでも身体を壊すな」
「ぎりぎりでもね」
「そうだな、じゃあ今度飲むか」
「何飲むの?」
「ビールどうだ?」
龍馬は笑ってこの酒を出した。
「それでどうだ?」
「ビールだね」
「ああ、ソーセージとかハムでな」
「いいね」
「調子が悪くてもな」
「ビールを飲んでだね」
「切り替えればいいしな」
心のそれをというのだ。
「今度飲むか」
「僕の家で?」
「いや、俺の家に来るか?」
龍馬は明るく笑ったまま優花に返した。
「それで飲むか」
「龍馬の家でだね」
「久し振りにな、最近親父ビールに凝っててな」
「そうなんだ、おじさん」
「何か飲みたいって言っててな」
「好みだね」
「酒もその時その時で飲みたいものが違うからな」
その日の気分でというのだ。
「親父今はビールなんだよ」
「前は焼酎だったよね」
「その前は日本酒でな」
「本当にその時で飲みたいものが変わるね、おじさんって」
「昔からな」
「ワインだった時もあったね」
「ああ、あったな」
龍馬も頷いて認めた。
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