第二百五十五話 帰りの旅その九
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
信長は勝った軍勢を率いて安土に戻った、途中民達は誰もが彼等に祝う声を贈ってきていた。信長はその彼等の声を馬上で受けつつ。
意気揚々と安土に戻っていた、そしてだった。
大坂に来た時にだ、大坂城を見て言った。
「さて、大坂もな」
「はい、城だけでなく街も」
「栄えてきていますな」
「そしてその栄えた街が」
「さらに栄えますな」
「そうした街にする」
その政でというのだ。
「そうするぞ」
「うむ、ではな」
こう言ってだ、そしてだった。
信長は大坂の街にも入った、すると利休がこんなことを言った。
「この賑わいは」
「どうした」
「はい、もう堺を超えていますな」
「そこまでか」
「見事な賑わいです」
こう信長に言うのだった。
「そしてこの賑わいがさらによくなります」
「これからは」
「はい、堺もうかうかしていられませぬな」
「ははは、それでは大坂と競いじゃ」
「そしてですな」
「うむ、堺も栄えさせよ」
今以上にというのだ。
「そうせよ」
「ですな、堺も負けずに」
「賑わってですな」
「よき街にします」
「それでは」
こう言ってだった、そのうえで。
利休も誓うのだった、堺は大坂に負けないだけの街にしようとだ。そうしたことを話してそのうえでだった。
軍勢は一旦大坂で休んだ、そして。
その大坂で食事を摂った、そこでこう言ったのだった。
「美味いわ」
「ですな。大坂の飯は」
「実に」
周りの者達も言う。
「魚がいいですな」
「野菜も」
「これだけ美味いと」
「癖になりますな」
「全くじゃ、こうした美味いものをじゃ」
こうも言った信長だった。
「是非な」
「民達もですな」
「食うべきですな」
「誰であろうとも」
「我等だけ食ってもじゃ」
その美味いものをだ。
「何にもならぬわ」
「皆が食ってこそ」
「それこそですな」
「よいのじゃ」
信長ははっきりとした声で言った。
「そのことは大坂だけでなくな」
「他の国もですな」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「天下万民がな」
「美味いものを食ってこそ」
「それで値がある」
「そう言われますか」
「これもじゃ」
ここでだ、信長はあるものを出した。それは。
蘇だった、彼はそれを周りの者達に見せつつ言った。
「この蘇、酪、醍醐は高いな」
「我等の国ではです」
堺から祝いに来たフロイスが答えた。
「チーズといいまして」
「牛の乳で作るな」
「そうした食物でして」
「そちらではよく食われるな」
「はい」
その通りという返事だった。
「左様です」
「それは牛が多くじゃな」
「乳をよく取るからです」
「ならばじゃ」
信長はフロイスの話も受けて言っ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ