第十幕その十一
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
そうしたお話を動物の皆がしているとです、ふとです。
ここでトミーは先生にです、こうしたことを言いました。
「山の中を見回していますと」
「うん、穴はね」
「これといってですね」
「ないね」
こう言ったのでした、先生も。
「いい穴が」
「はい、穴自体が少なくて」
「これではね」
「冬眠は」
「難しいね」
「はい」
「ツキノワグマならいけるけれど」
本州や四国にいるこの熊ならというのです。
「羆はね」
「身体が大きい分」
「それも難しいね」
「そうですよね」
「本当にツキノワグマは小さいんだ」
「熊としてはですね」
「相当にね、けれどやっぱり熊だから」
このことは言い加える先生でした。
「近寄る際は気をつけないといけないよ」
「そのことはですね」
「羆と違って犠牲になった話は聞かないけれど」
それでもというのです。
「大怪我をした話はあるからね」
「何十針も縫った人いますよね」
「だからツキノワグマでも気をつけないといけないんだ」
「熊は熊ですね」
「そう、大怪我をしたら元も子もないからね」
「そういうことですね」
「羆だと余計にだよ」
あらためて言う先生でした。
「気をつけないといけないんだ」
「近寄る際はですね」
「そうなんだ、それでだけれど」
「穴はですね」
「ないね」
このことをまた言った先生でした。
「それだけの穴が」
「羆の入れそうな穴が」
「本当にないね」
「ましてやかなり大きいそうですから」
「はい、ウルはです」
シホレさんも先生達に応えてきました。
「本当に大きな熊で」
「普通の羆よりもですね」
「大きいです」
こうトミーにも答えるのでした。
「倍はあります」
「普通の羆のですか」
「そうなると」
先生もそれだけ大きいと聞いて言いました。
「羆嵐位にですか」
「はい、本当に」
「ではそれだけ大きいとなりますと」
「冬眠の穴に困りまして」
「そうですね、あまり穴が多くない山ですし」
「これまでは何とかなっていました」
シホレさんはこれまでの事情もお話しました。
「ただ。その穴が今年は塞がってしまいまして」
「それはどうしてですか?」
「梅雨の雨で小さな土砂崩れでしたが」
「その土砂崩れで、ですか」
「穴が塞がってしまいまして」
そのせいでというのです。
「そのたった一つの冬眠出来る穴もなくなってしまいました」
「わかりました」
その辺りの事情もと答えた先生でした。
「そういうことですか」
「はい、それで先生と皆さんをお見掛けしてです」
「声をかけて下さったのですね」
「そうです」
「それではですね」
「これからウルのところに案内しますので」
「お願いします」
「
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ