第四話 エターナルマナ
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ら考える筈なのだから。
それでも、少女が己の使命を全うした理由はライドにはわからない。
わからないが、仕事を果たしてくれた少女に対して、対価は支払われるべきなのだ。
二人揃って遺跡を出る。という対価を。
「くらえぇぇぇぇぇ!!」
ライドは魔道具を振り下ろす。
白く輝いた浄水器は、受け皿を下に向けて不死者を飲み込まんとするように。
やがて輝く皿と不死者の頭が激突し、肉片を飲み込んだライド式浄水器から眩いばかりの光が迸る。
その光は飲み込んだ肉片から分離した不廃液を聖水に変え、辺り一面へと撒き散らした。
その聖なる水は不死者にとっては酸に等しい。
しかし、強力な酸を浴びた不死者達は突然の苦痛からか、再生を始めない体を振り回してその腕をライドの腹へと叩きつけた。
「ごおっ!!」
その一撃は、疲労し全ての力を使い果たしたライドにとってまさしく致命的な一撃だった。
ライドの体は弾かれ、まるで人形のように地面へと落下する。
頭から落下したせいか、額からは夥しい量の血液が流れ出し、逆さまになった視界に見えたのは、暴れだした不死者の足が、ライド式浄水器を踏み潰して粉々に砕く光景だった。
「……あ……は、は……なん……だ、それ……ぜん……ぜん……きかないじゃないか……な……に……が、えたー……なる……まな……だよ……」
ライドの視界がぼやける。
それは涙によるものだったのか、それとも意識が薄れていっているからのだったのかはわからない。
ただ、ライドの胸中に渦巻いていたのは、散々人を追い回してくれた不死者達に終焉を与える事ができなかった後悔だった。
だからだろう。
「どうして逃げなかったのですか?」
突然近くから聞こえてきた柔らかな言葉に、反射的に答えてしまったのは。
「……ひと……を……ばか……にした……やつら……に……見せて……やりた……かった……だけ…………さ……」
そう、答えはたったひとつだけ。
「じゃくしゃの………………いじを…………」
「そうですか」
言葉の終わりと共にそっと触れられる感触。
そして、柔らかな白い光りがライドを包み、先程までピクリとも動かなかった体が急速に自由を取り戻し、ぼやけた視界が一気に開けた。
あまりにも急速な回復にライドは驚きつつも跳ね起きると、声が聞こえてきたであろう方向に視線を向ける。
そこにいたのは一人の少女。
不死者に痛めつけられ、確かに倒れていたはずなのに、傷一つなく立っていた。
服はボロボロになり、所々焦げて目も当てられない状態なのに、そこから覗く肌は白く美しいままだった。
右手には魔道剣。
その刀身は白く輝き、先程から感じる暖かな温もりは
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