第四話 エターナルマナ
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蓋を開けてみれば広いだけでどれほど探しても見つかるのは壁に取り付けられたランクの低い魔石を使った魔道具のみで、他には魔石の『ま』の字もない廃鉱山。
それでも諦めずに探索したのだが、アンデッドに遭遇し、貴重な魔石の力を浪費する始末。
仕方なく帰ろうとしてみれば、突然現れた動きの鈍い少年と、切っても焼いても消滅しないアンデッド。
頭にきてとっておきの魔石を使用したのに、倒すどころか増えてしまったアンデッド。
……正直もうどうすればいいのかと思っていた所に突然持ちかけられた妙な取引──
「──正直、全て納得出来た訳ではないけれど……」
少女は黄色に輝く魔石を『魔石食い』の鍔口に嵌め込むと、黄色に発光した刀身を4体の不死者に向けて掲げた。
「受けた仕事は果たします。滅びなさい! アンデッド!」
駆け出した少女の動きに合わせるように、魔道剣の力が前方に向かって走り抜けた。
「……始まったな」
眩い閃光と共に響き渡る激突音に、ライドはゆっくりと前進しながら辺りを慎重に見回した。
「魔力が尽きないとはいえ、元々大した事のない魔石だ。どこまで持つかわからない」
それが3つあるとは言え、結果は大差ないと考えていた。
それでもライドが魔導剣士の少女にあんな取引をもちかけたのは、ある意味での勝算があったからだ。
(僕が持っていたこの鉱脈で手に入れた魔石は“5つ”。その内一つはこの坑道に落ちた時に失って、3つは彼女に報酬の前払いとして渡した。最後の一つが……)
ゆっくりと前進する今のライドの背にザックは無い。
変わりに手にしているのは今のライドが唯一もっている魔道具『ライド式浄水器』であった。
「……“聖水”の魔石。不純物の無い水分を飲用可能にしてくれる画期的発明品。しかし、頑丈な外郭とは裏腹に内部は非常に繊細で、生物の肉片でも混ざろうものなら簡単に壊れてしまう……辺りに聖光を撒き散らして」
ライドは震える体を押さえつけるように『ライド式浄水器』を強く握る。
「奴らが不死者なら聖なる光に弱いんだろ? 尽きない魔力で暴れる聖光をまともに浴びたらどうなるんだろうね」
黄色い光が掻き消えて、今度は電撃が迸る出口に向かいながら、少年は歩く。
手にした爆弾を無粋な門番にぶつける為に。
「……っ! くうっ!」
夥しい電撃の中を押し通るように、4つの影が向かってくる。
その身は砕け、肉は焼け焦げ、地面を抉っているにも関わらず。
「確かに、魔力は、尽きないけど!! 効果がこれじゃあキリがありません!!」
少女は前方に向かって渾身の雷を放出した後、素早く緑色に光る魔石を鍔口から押し外し、最後の魔石を嵌め込
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