第四話 エターナルマナ
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色に変えて一歩引く。
しかし、ライドはそんな少女に一歩詰め寄ると、右手を少女の眼前へと突きつける。
「何者? 僕は何者でもない。それでも敢えて名乗るのならば、僕はしがない一介の魔導技師。名をライド。今日を生きる事さえ難儀する半人前の物売りだ。だから残念な事にこの身を守る力もない。君のような華麗な剣技も使えなければ、誰にも負けない逃げ足もない。それでも短くない期間ここまで生きてこれたのは、僕にしか出来ない事があったからだ」
──故郷を捨てて新天地に渡って来たのは理由がある。
「──取引だ。年若い魔導剣士」
──技師としての腕も、目利きも未熟なのは誰よりも自分自身がわかっている。
「相手が尽きない魔力を使うのなら、こちらも尽きない魔力を使えばいい。君が持っている魔道剣は装着した魔石の力を引き出すのだろう? ならば、ランクは低くとも君の持っている魔石よりはマシなはずだ」
──そんな未熟な魔導技師が生きる為には。
「……何を考えているんです?」
「何も? さっきも言ったでしょ? 取引だと。僕は君に対して不死者を退ける為のマテリアルを提供する。その対価として──」
──使えるものは何だって利用する。
「──この遺跡を出るまで僕の事を守って欲しい。それだけさ」
少女はある目的を持って各地を巡る傭兵だった。
いや、正確には職業として傭兵をするつもりはこれっぽちもなかったのだが、生きる為に仕方なく続けてきていたことだった。
目的の一つは魔石探し。
理由は、彼女の持つ魔道剣『魔石食い』の燃費が非常に悪かった事が挙げられる。
魔道具の効果としては鍔口に嵌め込んだ魔石の魔力を“喰らった”魔剣は魔石の効力を帯びて攻撃する事が出来たのだが、魔力量の少ない魔石を使用しようものならあっという間に魔力切れを起こして魔石自体が消滅してしまうほどだった。
しかし、彼女自身ある程度剣術を齧っていてはいたものの、彼女の最終的な目的を達成する為にはどうしてもこの魔道具は必要だった。
何より、生きてその場所にたどり着く為には生き抜く為の力が必要だった。
だから、彼女は魔石を求めた。
傭兵として金を稼ぎ、過去の遺跡を見つけては未発見の魔石を探した。
その過程で魔力量が多くランクの高い魔石を見つけてきたのも事実だが、希少価値が高い以上ここぞという時にしか使えない代物だった。
彼女の目的を達成する為には、一つでも多くの上質の魔石を保持、収集する必要があったのだから。
だから、少女は後悔していた。
偶然古い鉱脈跡を発見し、未発見の魔石の一つでも見つけられればと軽い気持ちで入った遺跡。
だが、
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