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緋弾のアリア-諧調の担い手-
第五話
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薄いタオル一枚で、その肢体を隠している。

けれど、それだけで全身を隠せる訳もなく…艶やかな太ももなどが見え隠れしている。
その扇情的な格好、故に瞳を反らす。意識して、話も全然耳に入って来ない。


「ちゃんと、話を聞いて」


そう視線を反らしていると、彼女に顔の位置を正面に強引に戻される。
そうして正面を向くと、互いの顔がキスをする程に近い。


「…貴方があの場所に行った事、それにも当然怒っているわ。自ら危険な場所に足を踏み入れたのだもの。それは解るわね?」

「…解ってはいる。けどな、もし食い止めてなければ被害は都心部に向いて、更に拡大していたかもしれない。……皆が最悪死ぬ可能性もあったんだ」


もうバレていると観念して、俺は素直に語り出す。


「なら、貴方自身が傷つき、死ぬ事はいいのかしら?」

「…皆が怪我をするよりはいいだろ、どうせ俺はそんな簡単には死なないんだ」

「けれど、貴方もエターナルとはいえ人と一緒。傷つき、死ぬ事もある。そうしたら貴方の大切な人達はきっと悲しむわ」


目の前の少年は何でも自分一人で背負おうとする、きらいがある。
…私では、時夜の隣に立つ事は出来ないのかしら。私はそんなに頼りない?

そんな感情が胸を支配していく。私はこの人の過去、前世を知っている。

大切な人を立て続けに失い続けた人生。
どれだけ大切に抱き締めても、総ては腕の間から零れ落ちてしまう。


「…ねぇ、時夜。人を信用するのは、心を許すのは怖い?」

「……それは」


戸惑いがちに、そう弱々しく口にする。
不意に、時夜は数年前に昏睡した時のリアの言葉を思い出す。

今の状況はまるで、あの時と一緒だ。
一人で出来る事は限られている。俺はまた無意識の内に一人で抱え込んでいたみたいだ。

それをあの時、リアに思い出させて貰った。大切な、前世においての“彼女”との言葉を。


「…そんな事はない」


ごめん…と口にして、彼女の瞳を真摯に見つめる。


「…無意識の内に思い上がっていたみたいだ。ちゃんと皆に話しておくべきだった、怒られてでもな」

「そうね、それがもう一つの私達が怒っている理由だった。貴方は何でも一人で抱え込もうとするから…」

「大丈夫だよ。これからは、ちゃんと皆を頼らせてもらうから」

「…それなら、もう大丈夫ね。見ていて貴方は傷つきやすくて、脆く見えたから」


それと…と、カナは言葉を続ける。


「…ちゃんと、私も頼って。独り傷つく、そんな時夜は私も悲しいから」

「…ああ、約束するよ」

「ああ…それと、この後皆からお説教だから」

「……えっ?」


その後、時夜は憂鬱
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