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緋弾のアリア-諧調の担い手-
第五話
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言葉を発する。
そうして、自身の記憶領域に記録された映像を空間にモニターを開き、映し出す。






4







「……ふぁ」


…ああ、やばい。気を抜いたらぼぅっと一気に眠気に負けそうだ。
首を振って意識を覚醒させても、そこから直ぐに睡魔にのし掛けられる。


「……んっ?」


朧気な意識。そんな中、不意に。
しゅるしゅると風呂の扉越しに衣擦れの音が聞こえてくる。

それはまるで、誰かが服を脱いでいるかの様な音だ。


「…なんだ、今の音―――」


自問自答を口の中で呟く。
次の瞬間、思考に耽る前に答えを示すかの様にバスルームの扉が開いていく。

真っ白な湯煙が立ち込める中、まず見えたのは扉の隙間から覗く真っ白な素足。
続いて、その素足の持ち主である女の子が扉から顔を覗かせた。

………女の子?………女の子?!
理解するのに、思考が一瞬停滞した。


「ええぇぇぇぇぇぇっっっ!?」

「あら、どうしたの時夜。そんな裏返った声で叫んで?」


バスルームに跳ねる、シャワーの水飛沫。白く湯気だつ蒸気が立ち込める中。
目の前に、俺の目の前に…小さなタオルを身体に巻いただけのカナが―――


「って、夢じゃないのかよ!ちょっと待てカナ、何してるんだ!」


俺が寝惚けているという訳ではなくて、そこには正真正銘のカナの姿があった。
後ろ手に扉の鍵を閉めて、ゆったりとした口調で俺の問いに答える。


「時夜、貴方とじっくりお話をする為よ。」

「…は、話?」


困惑気味に、俺はそう首を傾げる。


「……時夜、私達に嘘を吐いているわね?」

「……何の事だ?」

「―――お台場、港区、倉庫街」


白を切るが、その言葉に背筋がピン…とする。
その発したワードは、俺が隠そうとしている事に直結する。

それは、あの連続襲撃犯と吸血鬼の戦闘に介入した場所。


「時夜、何で私が…私達が怒っているか解る?」

「……さっ、さぁ」


何時の間にか、俺は壁際へと追い詰められていた。
……情報の流出はきっとイリスだろう。追い詰められながら、そう思想する。


更に、不意に思い出す。リアと俺の間には特殊なラインが繋がっている事を。
それを通して、俺の前世をそうして、知った様に。

今回の事も、そのラインを通して記憶を垣間見たのだろう。
自身の配慮の無さに、今更気付く。どの道、言い逃れは出来ないのだろう。

…相手を直視する事が出来ない。

それは後ろめたい事も確かにある。
今のこの状況に対して不謹慎であるが、カナのその格好による割合も大きい。

ほぼ全裸に近い格好。
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