第四話
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た為に、七色に輝く人工的な光が目に痛い。
そして、左へと曲がり直ぐ前に存在するコンビニへと足を入れる。
自動ドアを潜ると、そのコンビニ特有の様変わりした入店音が響く。
それだけで、何処か非日常から日常に帰ってきた様に感じる。安心感を覚える。
「……時夜くん?」
「…んっ、文か?」
不意に、冷房の効いた風に乗って。
最新の話題の曲と、聞き覚えのある、よく耳に馴染む声が聞こえてくる。
故に、振り返る前にその存在の名前を口にした。
「奇遇だな、文も買い物か?」
「そうなのだ。ここのコンビニ、時夜くんの家から少し離れてるのに……」
振り返ると、そこには見知った幼稚園来の幼馴染である平賀文が存在していた。
少女は心配そうな面持ちで、二の句を紡ぐ。
「……大丈夫だったの?」
その言葉が指しているのは、先程まで起こっていた倉庫街の大規模火災の事だろう。
今も店内には港区の方を不安そうに眺めている人達の姿がある。
「ああ、大丈夫だったよ」
俺は彼女の不安を取り除く様に、笑みを浮かべる。
「文は買い物終わったのか?」
「うん、終わったけど……まだ、外が危なくないか心配だったから」
それ故に、店内で様子を見ていたと。不安そうな少女のその顔は正直、見ていたくない。
確かに、あれだけの事があったのだ。帰り道は女の子一人では心細いだろう。
「……送ってくよ、文」
「…でも、時夜くんも買い物しにきたんじゃないの?」
「まぁ、そうだが。文の両親も心配してそうだしな、文もこのままじゃ帰れなさそうだしさ。それにまた寄ればいいだろ」
そう口にすると、文はおずおずといった感じで、それに了承してくれた。
そうして俺は彼女を連れて、不安だという文の手を安心させる様に繋いで、彼女の家へと向かった。
繋いだ手から、暖かさを感じ取った。
それは俺が守るべき大切なモノであると、それが此処にあると、そう強く強く感じられた。
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