夏休みU
第三話
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髪の少女が俺を追う様にビルの屋上へと向かってくる。
俺はそうして彼女の顔を見た。見間違えかもしれない、けれど俺にはそう見えた。
基本的に感情が希薄な人工生命体である少女のその顔が、瞳が悲しみに染まっているのを。
人工生命体は基本的に人に従順だ。
けれども、薄くであるが感情を持つ。何処かで彼女は、自身の行いに痛みを感じているかもしれない。
『……時夜、時間です』
頭に再度響く、イリスの声。
それに俺はマナを閃光弾の様に眩ませて、相手の目を塞ぐ。
そうして、その場から離脱する。これで俺の仕事は終わりだ。
ただ、最後に見せた、エーリゲネーアの顔が頭から離れなかった。
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