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緋弾のアリア-諧調の担い手-
夏休みU
第三話
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、鮮血で紅く濡れている。…吸血鬼の返り血だ。


「…戦闘を止めろ」


時夜は法衣の男をフードの内から睨んで、警告する。
男は大仰に肩を竦めて、時夜を蔑む様に眺めて、言葉を口にする。


「この国の攻魔師ですか?…見た所、その蝙蝠の仲間ではない様ですが」


値踏みする様な表情を浮かべ、顎を擦りながら淡々と言う。
男の身体から滲み出る殺気を感じて、時夜は重心を低く構えた。


「行動不能の吸血鬼に対する虐殺行為は、明らかな法違反だ」


時夜はそう告げる。
そうして、オーラフォトンで構成された刃を、牽制の意を込めて相手に向ける。


「…いや何、魔族特区から出て何やら悪巧みをしていたのでね、ちょっと警告したんですよ。そしたら、先に手を出して来たのは彼の方ですよ?」


でも、まぁ…と、男は二の句を紡ぐ。


「魔族を狩る事が仕事の私には関係がありません―――ねぇ!!」


男は無造作に言い捨てて、ステッキを此方に走りながら振り下ろす。

背後には負傷した吸血鬼がいる。
俺はそれを相手に向かい走りながらオーラーフォトンの刃で受けようとする…だが。

そのステッキの柄がスライドして長く伸び、同時に、収納されていた主刃が展開される。
まるで戦闘機の可変翼の様に、左右にも副刃が広がる。

洗礼された近代兵器の様な外観だ。
だが、時夜はその可変槍に対してゾッ…と嫌な予感が走った。本質はそんなモノではないと。

だが既に遅い。可変槍はオーラフォトンの刃によって受けられた。


「なっ―――」


拮抗する様に、淡い光が空間に迸る。それと同時、本能的に後ろに後退する。
時夜はその現象に驚きを隠しきれなかった。

オーラフォトンで構成された刃の一部分が刃毀れしたかの様に、綺麗さっぱりと無くなっている。
……無効化?いや、マナの還元?

仮にも永遠存在の構成した高純度のマナ物質だ。悪感が告げた様に、あの可変槍に秘密があるのだろう。

俺は刀の構築を破棄して、懐へと柄をしまう。


「……イリス、今のは何だ?」

『―――解析完了。マナ無効化術式“神格振動波駆動術式-DOE-”と認識します。…下位神剣位の力は持っています、気を付けてください』

「その術式媒体みたいな子は優秀だねぇ、正解だ!正解にもう一撃プレゼントだ、嬉しいだろう?」

「…お断りだ、ねッ!!」


踏み込みからの横薙ぎの一閃。その速度は、ただの人間にしては速い。
それを時切の速度強化の神剣魔法で避け切る。

だが、それだけではなかった。
夜目の利く時夜にはそれが確かに見えた。空間に幾重にも張り巡らされた極細としたワイヤー。

それすらも掻い潜る様に加速した時
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