三項目 『めいろ ー名無しの森ー』
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察する間も無く、いきなり〈索敵〉に反応があり、木の陰からハンプティダンプティーが飛び出し、ユーリへと襲いかかった。
「あっ……!ユッーー」
「シャラップ!」
「ッ!??」
一喝すると、事前に予期していたような動きで敵を迎え打った。 突き出されたフォークを納刀したままの鞘で軌道を逸らし、ガラ空きのタマゴボディへとカウンターを叩き込んだ。 鮮やかにタマゴ型エネミーを調理してみせると、くるりと振り返り、「わかっただろ?」みたいな顔を向けてきた。
「……なまえ、名前。 もしかして、PNで呼んだら、さっきみたくモンスターが湧くとか?」
そんなギミック聞いたことも見たこともねぇよ。 どんな友情破壊だよ……と思っているとユーリは首肯した。 マジですか!
「付け加えるなら、ノイズの発生もだろうな」
「あぁ〜、なるほどね」
先ほどからバグだと思っていたノイズは仕様らしい。 まぁ、こんな大掛りな仮想世界を創り上げた天才がこんなちゃちなミスをするとは思えない。
ようやく納得し、一人頷いているとしらーっとした視線を彼に向けられる。
「……な、なんですかね?」
「いや、別に……ただなんであんな呼ばれ方されたのか気になっただけですが?」
……何か? と最後に付け加えてくるイヌミミ、もといユーリ。
てっきりもう許してくれたと思っていたが、まだダメらしい。 見かけによらずねちっこいな。
額に冷や汗を薄っすら浮かべつつ、正直に答える。
「いや、だって、ユ……キミ、呼んでも無視するし。 ささやかな嫌がらせというか、悪戯というか?」
「そこでなぜ疑問系」
「あ、アハハ〜」
ジトっとした視線を向けられ、思わず苦笑いが零れた。 しかし、縛り有りの会話とかどんなバラエティ番組なのだろうか。 話し難いことこの上ない。 故にまた、うっかり地雷を踏み抜いても仕方ないよネ!
だが、そんな内情を読み取ったのかユーリは冷ややかな視線を向けながら言った。
「……次はないぞ」
「な、なんのことでしょうか……」
これは早急に解決しなければ……。
「じゃあ、なんて呼べばいいのさ。 キミ、お前、アンタとかの代名詞呼びはさすがに辛いんだよ」
親しい間柄だから余計に。
そう言うと、一瞬だけ思案顔を浮かべた後、ごく普通に言った。
「名前でいいだろ」
「君のPN、本名だよね?!」
ユーリは今気がついたと驚いた表情を浮かべた。 顎に手を当て、考える仕草を見せる。
「じゃあ、苗字……?」
「いや、うん……そうなるんだろうけど」
妥当な案、だと思うのだが私は歯切れの悪い返事をしてしまった。なんか問題でも? と視線で訴えかけてくるが勿論、理由はある。
実はユー
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