三項目 『めいろ ー名無しの森ー』
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ンプティダンプティーが消滅した刹那、シィが叫んだ。 今度こそ彼女の声はハッキリと言葉として伝わった。 が、衝撃的な一言も加わって。
「ーーイヌミミ上ッ!!」
「ーー!??」
一瞬、我が犬耳を疑うが反射的に上向けばユーリを串刺しにせんと槍を構え、擬人化タマゴが飛び降りてきていた。 体を捻りそれを躱し、無理やりに鍔迫り合いに持ち込み追撃を封じると、後ろへとありったけの怨沙の念を込めて呟いた。
「……テメェ、アトデオボエテロヨ」
「ひぃぃ!?」
死刑決定。 その前に目の前のこいつをやってしまおう。
わざと力を抜き、拮抗していた状態を崩すと、前のめりになり、体勢を崩したタマゴをシィめがけて蹴飛ばす。 ゴロンゴロンと転がって行ったハンプティダンプティはシィの大鎌によって身体を二等分され、呆気なく散った。
??
確実に敵を殲滅したのを確認すると息を大きく吐き出し、気分を入れ替える。 そして、ジロリとシィをジト目で睨みつけ、手刀の形を取ったユーリの右手が閃いた。
「ーーセイッ!」
「ふぎゃあ!?」
鋭い一撃がシィの脳天へと炸裂し、涙がじわる。 頭を両手で庇いつつ、涙目で恨めしげに睨みつけるが気にもとめず、ユーリはにこやかに笑い、肩に片手を置きながら告げた。 ただし、瞳は少しも笑っていない。
「……ねぇ、ちょっと君、最近、調子のってないかい? え?」
「ひぃぃぃぃ!? す、すいませんでした! 二度と言いません!」
必死になって謝ったことによって、死刑執行を免れ、情状酌量を勝ち得、ホッと息を吐いた。 しばらくは、このネタで弄るのは止めておこうと心に刻むのだった。
閑話休題。
一応怒りの矛先を収めてくれたものの、いまだイヌミミ呼ばわりしたことを根に持っているらしくユーリがそっぽを向いたままで会話もなく、正直気まずい。 意を決して……というのもおかしい気がするが先ほどから気がかりだった用件を訊ねてみた。
「ねぇ、このフィールドってやっぱり変……だよね?」
「だろうな。 まぁ、あらかた検討はついてるんだが……」
「ほへぇ〜」
あっさりと返答してくれたことに驚いた反面、この森の不思議に興味があった。 やはり気になるので、先を促す。
「して、そのギミックとは?」
「……名前。 より詳しくは、〈PN(プレイヤーネーム)〉を呼ぶこと」
「は? なまえ〜?」
思いもやらぬ解答にわけがわからず、おうむ返しに聞き返した。 だがそこはユーリ。 顎に手を当て、逡巡した後、口を開いた。
「そうだな、例えば……■■」
「へ?」
この森に突入してから幾度となく聞いたノイズ音が走り、後半部分が聞き取れなかった。 その真意を考
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