三項目 『めいろ ー名無しの森ー』
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ーーしかし、冒険がそう易々と終わるわけがない。
??
「何か色々と凄かったね、■■■」
「え、なんて……?」
「へ?」
後半、ザザザッとノイズが走り、思わず訊き返すとシィが不思議そうに首を傾げた。 気のせいか、と済ませようとしたところでユーリの〈索敵〉に敵性反応が出現し、森の奥から先と同種と思われるエネミーが現れた。
「あら、まただわ!」
「そうね、またハンプティダンプティーだわ!」
ハンプティダンプティーは、楽しそうに指差す童女達には目もくれず、ポカンと呆けているシィへと巨大なフォークを掲げてしてくる。 しかし、さすがは攻略組というべきか即座に応戦する。 大鎌をクルクルと馴れた様子で扱い、突き出された三叉槍を弾き返し、丸い胴体を横一文字に切り裂いた。 続けて二回切りつけるとハンプティダンプティは呆気なく砕け散る。 物足りなかったのか、シィは微妙な表情を浮かべた。
「なんか楽勝だね」
「まぁな、かなりレベル差があるみたいだし」
軽口を叩きながら、更に森の奥へと進むこと数刻。 ユーリ達一行を惑わさんと濃い霧が発生し始め、空気が淀み始めた 。 始めの頃のような神秘さは薄れ、森はただただ不気味だ。
しかし、こうも霧が濃いと、〈索敵スキル〉による視覚の強化もあまり意味を成さない。
数回のエンカウントをアリス達の事前の通告とマッドハッター達の協力のおかげで大きく消耗せずに進めているが、やはり油断は出来ない。 気を引き締めて先導する二人の童女の後ろを歩いていたユーリに、ザザザッとノイズ音が耳朶を打つ。 会話の途中に生じるノイズ音は、この森林地帯に踏み込んでから発生した現象なのだが、実害がないにせよ気に障ることこの上ない。
「ねぇ、■■■……?」
そして、またザザザっと不愉快極まりないノイズ音が会話を遮る。
ユーリは眉を寄せて、考える素振りを見せるもなかなかいい考えが浮かばないのか表情が優れない。 不満げに頭を掻いていると急に襟首を掴まれたと思った途端、後ろに強く引かれ危うく転びかけた。 何事か、と体勢を立て直しながら後ろを振り向けば、憂げな表情を浮かべたシィと目が合った。
「ねぇ、どしたの? そんな恐い顔して……」
「あー、さっきからさ……変なノイズが聞こえないか?」
気まずそうにユーリは犬耳を伏せると、先ほどから気になっている事について簡潔に訊ねると、やはりシィも心当たりがあったようで「あー」とか「うーぬ」とか言いつつ、賛同した。
「いったいなんなのんだろうね、■■■。 バグかな……?」
「んなわけ……チッ、こんな時に」
舌打つと森の奥を睨みつけた。 彼らの議論を邪魔するかのようなタイミングで現れたの
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