夏休みT
第五話
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ろそろお昼か、昼食にしないかカナ?」
「…そうね、いい時間だし昼食にしましょうか」
「いいお店を知ってるから其処にしよう」
そうして二人歩き出した時だった、そいつと出会ったのは。
「…倉橋ィ、テメェとこんな所で会うとはな…!!」
舌打ちをする目の前の少年。
黒の革ジャンにジャラジャラとしたシルバーアクセサリー、ワックスで逆立てた灰色の髪。
見た目からして関わり合いになりたくない人間だろう。
「…時夜、知り合い?」
「……いや、全く知らん」
「テメェ、あの時の事を忘れたとは言わせねぇぞ…!」
俺はその言葉にハッ…とする。そうだ、コイツは…!!
「お…お前はウルフ・ザ・マッドドッグ!!」
「んな奇妙な呼ばれ方された事ねぇよ!」
ノリにツッコムみにと、コロコロと表情を変える少年に、クスリ…とカナが笑みを零す。
「一人百面相していて面白い人ね、概ね時夜のクラスメイトなのでしょう?」
「…まぁ、ぶっちゃけるとそうだ。自称不良(笑)の松屋くんだ」
松屋優、俺のクラスメイトで何故か敵視してくる一匹狼気取りな不良(笑)だ。
名前にコンプレックスがあるのか名字で呼ぶ様に皆に言っている。
…まぁ、その名字もネタにされるけれどね。
一匹狼気取りな癖にクラス委員長であったり、健康に気配り。
休日には清掃活動に積極的に参加したりしている。今時珍しい、好少年だ。
新ジャンルである、爽やか系不良という奴だ。
その為か、皆に怖がられずに普通に、暖かい目で接している。まぁ、本人は気付いてないけど。
「チッ…休みにまでテメェに会う事になるとはな」
あばよ…と言い、そっぽを向いて俺達に背を向けて歩く松屋。
そうして、その後を無言で続いて歩く俺とカナ。
「…いつまで付き纏う気だ?」
少しして、そう口にした松屋。
「…俺達もこっちなんだよ。それより、いいのか?」
「…あん、何がだ?」
俺は親指で後ろの建物を指さす。
黄色を基調とした色合いに青のロゴの建物だ。
「おいおい、お前ん家通り過ぎたぞ?」
その発言に、額に青筋を立てる松屋。
「あの牛丼屋は俺の家じゃねぇ!」
大きな声でそうツッコム松屋。
その声で、周囲の人間の視線が自然と集まる。
その様子に、と舌打ちをして、白けたぜ…と言い残して去っていく松屋。
当然店舗にではなく、何処ぞにへと消えて行く。そうして取り残される俺達。
「…相変わらずキャラが濃いな」
「時夜がいじめるからでしょう?」
俺の呟きにそう答えるカナ。まぁ、確かなんだけどね。
だって松
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