夏休みT
第二話
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る声音でイリスがそう口にする。
首から下げたイリスも陽光を浴びて、媒体がそれなりの熱を持っている。
「…お前、大丈夫か?オーバーヒートとかしないよな?」
『…大丈夫ですよ、マナを使って快適な温度に保ってますから』
「……さっきからマナが吸い取られる様な感じはお前かよ。ってかずるいぞ一人だけ涼んで」
『私はデリケートな女の子ですからねぇ』
答える気力も削ぎ落とされて行く。
相変わらず高性能なAI。家計簿の計算から国家のハッキングまでこなす万能な相棒だ。
…変な所で人間臭い奴だけど。
そんなイリスに対しての評価が頭を過る。
俺はイリスが自身に科している様に自らに、青の神剣魔法の応用で耐熱魔法・冷却魔法を身に施す。
「……はぁ、涼しいな。初めからこうしておけばよかった」
心の底からそう思う。身体から熱が払われて、快適な温度になる。
そよぐ風も、熱風の筈が適度な涼しさの風だ。
「…どうだ、時切?」
『…うん、大分涼しくなったわ。』
「…それは良かった、じゃあ行くぞ」
気を取り直して、歩を進める。目指すは近隣の図書館だ。
視線を道行く人々に移す、皆汗を掻いて暑さに悶えている。
その様子を見ていると、一人涼しくいる事がちょっとした優越感に感じる。
まぁ、マナの無駄遣いと言えばそうだけれど、熱いものは熱いしねぇ。
俺、暑さに弱いし。……うん、しょうがないよね。
2
「見えてきたか」
神剣魔法のおかげで、暑さを感じず快適な道中であった。
視界の先に、目的の建造物が見えてくる。
いつ見ても、独創的な形をした建物だ。地上三階建てで、近隣の図書館の中では一番大きい所。
建てられて、築三年の書館で、蔵書数も此処ら一体の中では一番多い。
その外観の独創的なデザインは著名なデザイナーによるものだとか。
地上一階と二階が図書フロアになっており、三階は周辺地域の過去の資料館と展望フロアになっている。
俺は自動ドアを潜ると同時に、神剣魔法を解除した。
「……ふぅ」
潜ると、空調の効いた冷風が頬を撫でる。
直射日光も当たらず、入口付近は木陰になっていて心地良い。
耳に馴染むクラシックの音楽に思わず、瞼を閉じる。
そこで一息吐いた後、肩に担いでいる鞄を持ち直して図書館内部に進む。
「……勉強は後回しかな」
勉強は前世で大学生だったので、小学生レベルならば苦にはならない。
ゲームでいうならば、強くてニューゲームというヤツだろうか。
宿題自体は少し量があるが、今日中に片付けられない量ではない。
先にもう一つの課題である、読本
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