夏休みT
第二話
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しても、男として役得ではあったでしょう?』
「全くだよ、お母さん。けど悪いのは俺だからね、起き抜けとは言え、確り話を聞いてなかったんだから。…イリス、俺にはまだ良くそう言うの解んないよ」
本当は内心では解っている。前世を入れて、俺はそろそろ三十路を迎える。
現に俺はリアの半裸を見て、“あの状態”へと危なく到ろうとしていた。
自身の事をそう思いつつ、この血筋の元凶の存在を思い出す。
「そう言えば、お父さんはもう?」
「ええ、昨日の時夜が眠っている内に海外の方に仕事で向かいましたよ?」
「…そっか、怪我とかしなければいいけど」
リアより味噌汁の茶碗を受け取り、朝食を継続する。
そうして、何時もの様に家族間でのコミュニケーションを続ける。
「今日から夏休みですけど、何か予定は?」
「うん、今日中に宿題の方を片づけようかなって。朝ご飯食べ終わったら図書館でも行こうと思ってる」
今日中に宿題を片付けないと、明日には“アイツ”が来るしな。
「そうですか、近頃は色々と物騒ですから気を付けて下さいね。」
「うん、分かってるよ」
そうして朝の事など水に流して、何時もの様に緩やかに時間は流れて行く。
1
『いい天気ですねぇ』
家を出てから数分。
夏の陽気の中、俺とイリスはそう会話をしながら住宅街を歩いていた。
空を見上げれば、曇り一つない青い晴天が広がっている。
時折頬を撫でる夏風が乾いて身体を熱して行く。…東より照り付ける直射日光が忌々しい。
身体の水分を奪い取り、喉が渇く。
背中から汗が流れ出ていく。そして、何かが吸い取られていく様な気がする。
「…いい天気過ぎて、逆に鬱陶しいな」
朝の予報で天気を確認した時には、今日は最高温度が35度を超えるらしいと言っていた。
日射病・熱中症には気を付けないと。俺も対策としてハットタイプの帽子を被っている。
が、格好に問題がある。灰色のジーンズ生地のハーフパンツに白のネルシャツ。
そこに羽織る様に着ている、紺の薄い長袖のパーカーだ。
『……時夜、熱いわ』
「…まぁ、頑張ってくれよ時切」
新たに会話に加わる声。
パーカーの袖に収納されている時切が、げんなりとした声でそう告げる。…それは俺も分かるよ。
袖の中に隠れた時切は鞘に収まっているとはいえ、密閉状態でかなりの熱を持っている。
腕に触れていて、俺もかなり熱い。下手すると火傷しそうだ。
けど、自衛手段としては一応の所必要だ。
時切がいてくれれば、時の神剣魔法で万が一の時も逃げ伸びる事が出来る。
余裕のあ
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