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緋弾のアリア-諧調の担い手-
夏休みT
第一話
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きながら、フィアを連れて一階のリビングへと向かった。






1







「おはよう、お母さん」

「おはようございます」

「はい、おはようございます二人共。…あら、凄い髪になってますよ時夜?」


リビングへと降りると、家事をしているお母さんの姿が映った。
俺の頭を見てか、我が母君は上品に笑みを零す。


「フィアに先にご飯食べさせて上げて?俺は昨日風呂に入り損ねたから先にシャワーしてくるからさ」

「解りました、あっ―――時夜」

『…あっ、待って下さい時夜』


俺はそう告げて、欠伸を噛み殺して眠り眼を擦って洗面所の扉を開く。
その背後で母が、そして首元でイリスが何かを言っていた気がする。

だが、未だ眠気の残る俺はそれを聞き逃してしまった。

そうして、扉を開き中へと入る。
すると、びっくりした様に目を見開いて、彼女は時夜を呆然と見据えた。

まだ幼さを若干残しているが、可愛いよりは綺麗と言える顔立ちの少女であった。
長い碧銀色の髪をしており、細身で華奢であるが、出る所は出ている均等の取れた身体付き。


「ど……」


全く予想外のその光景に、時夜は混乱して立ち尽くす。
起き抜けのせいか、頭が回らない。何がどうなっているのか理解出来ない。

無防備な下着姿で立っている少女。
少女も、ぎこちない仕草で何が起こっているのか解らずに首を傾げる。


「…ど、どうして、リアが此処に?」

「……あ、主様!?」


擦れた声でそう呟く。
否、珍しい事ではないだろう。彼女、リアもこの家に住む住人だ。

その光景に、眠気も一瞬で吹き飛んだ。
そうして、その一瞬で現実を理解してしまう。そして、彼女を包む非現実感もだ。


(……やばい)


思わず、不謹慎ながらも、身体の芯とも言える部分に血が集まって行く様な感覚に陥る。
これは父親からの遺伝だ。俺は“あの状態”へと至ろうとしていた。

それは不味いと思い、目を逸らそうとするが、そうは行かない。
ガラス細工の様な白い肌。芸術品の様な細い鎖骨。柔らかそうな曲線を胸元。

時夜は前世を入れれば、もうすぐ三十路を迎える事になる。
それらに目を引かれるな、というのが無理のある話だ。


『…警告したのに、そんなに覗きたかったんですか時夜?』

「…はっ?何の話だ?」


イリスのその言葉に、思わず状況を忘れて疑問符が浮かび上がる。
……警告?そんなものはされた覚えはないし、自ら望んで犯罪行為に走る理由はない。

『…リアがシャワーを浴びていると、時深が言っていたでしょう?』

「…いやいや、俺そんな話聞いてないぞ?」


イリス
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