夏休みT
第一話
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して、朧気な瞳を擦って視線を俺へと向ける。
何この可愛い生物?
意識が朦朧としているのか、その瞳はどこか焦点が合っていない。
「ほら起きて、フィア」
「……パパ?」
俺の呼び掛けに対して、ワンテンポ遅れて反応する。
「おはよう、ソフィア」
「……おはようございます、パパ」
まだ眠たそうだけれど、俺の手を離してベッドから抜け出す。
眠っていたせいか、髪に少し寝癖がついている。
「…寝癖が付いてるな、ちょっとおいで」
「は〜い」
その言葉の通りに、胡座を掻いた俺の膝にちょこんと座るソフィア。
俺はベッドに隣接されていたカウンターより、拘束されていた右手で櫛を手にする。
そうして、美しい碧銀色の髪の毛を壊れ物を扱う様に梳かす。
女の子にとって、髪は大事だろうからね。
「……んっ」
髪を梳かす事に対して、ソフィアは気持ち良さそうに瞳を閉じている。
まるで借りてきた猫の様だと内心で思いながら、そのまま続けて髪を整える。
「よし、もういいかな」
寝癖もしっかりと直って、いつもの綺麗な母親譲りの碧銀色の髪だ。
「…もう、終わり?」
そうして櫛を仕舞うと、何処か物足りなさそうな顔をする我が娘。
そんな娘の頭を撫でながら、俺は問い掛ける。
「流石にそろそろ起きないとな。朝ご飯も食べないと」
膝の上から床に下ろし、俺もベッドから立ち上がる。
部屋の中央に位置するテーブルより、休眠状態のイリスを手に取る。
淡い光が機械水晶に灯り、それと同時に間の抜けた機械音が耳に届く。
『……ふぁあ…おはようございます、時夜』
「おはよう、イリス」
清潔な布で水晶の表面を拭く。
強すぎず弱すぎず、優しく撫でる様に拭いていく。
『…はぁ…気持ちいいですねぇ』
うっとりとした艶っぽい声を出すイリス。
毎晩、寝る前にしないとイリスは怒るからな。
昨日は出来なかったので、今日は入念に手入れをしてあげる。
その後、首から下げる様にイリスを身に付ける。
『おはよう、時夜。今日は遅かったわね?』
同じくテーブルに置かれた、時切が語り掛けてくる。
「まぁな、今日から夏休みだしな。少しくらい遅くても罰は当たらないさ…げっ」
そう会話しながら、俺は箪笥より今日の着がえを取り出す。
昨日はパジャマにも着替えないで眠ってしまったしな。
そうして、部屋に立て掛けられた鏡で自身の髪を見て、軽く悲鳴を上げる。
まるで爆発したかの様に、髪が凄い寝癖が付いている。
「これは、本当に先にシャワーを浴びなきゃな」
そう呟
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