あくる日の黄昏
第二話
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にする。
「…どうかしたのか、フィア?」
術式・箱庭は独界とは言え、俺が承認した存在は出入りが出来る事になっている。
故に別段、閉鎖された世界だからといってフィアが此処にいる事自体は珍しい事ではない。
「…んっと、ねぇママに言われてきたの」
舌足らずな言葉使いで話す、我が子の頭を優しく撫でる。
猫の様に、気持ち良く目を細める少女を愛おしく思う。…この子と初めて会ったのは三年程前の事。
この子と初めて出会ったのは三年程前だ。
初めての出会いはインパクトがあり過ぎて、今でも脳内にしかと刻み込まれている。
否、忘れる事等出来ない。嘗て、昏睡状態に陥っていた俺が目覚めてから数日後の昼寝時の事。
眠りから覚めると、俺の布団の中に得体の知れない全裸の幼女の姿があったのだ。
しかも、その風貌は見知った誰かと同じ碧銀色の髪をしていて、瞳は俺と同じ蒼穹の色をしていた。
あれには驚いた。思わず、思考が停止した程だ。それが俺と、娘であるフィアとの出会い。
後に解った事だが、フィアは“諧調”の“守護神獣”であるという事。
その事実が当時混乱していた俺に、諧調の化身であるリアより伝えられた。
守護神獣とは、永遠神剣の意思が具現化したもの。
神獣の姿は神剣使いの深層意識によって決定されるモノだ。
何故か、フィアは幼女の姿で生まれてきた。……俺には、ロリコンの気は無い筈なんだけど。
うん、無いはずだ。きっと、無いはずだ。そう、無いはずだ。そう、自分に言い聞かせた。
そして、何故フィアが俺の事をパパと呼ぶかと言うと。俺が諧調の担い手だからだそうだ。
ソフィアの中では自身にとっての母親とも呼べる存在である諧調。
その担い手=父親。その二人を足して夫婦。
そして、神剣使いの深層意識で生まれてくる自分を娘と称したのだ。
そういう解釈らしい、まぁ俺もリアも嫌ではないのでその関係を然りと受け入れているが。
自身と差ほど見た目の変わらない娘。自身よりも遥かに年上に見える少女。
普通ならばありえない関係だなと、深々とそう思う。
だが、既に自分は“普通”等に当て嵌まらない存在であると自覚する。
「―――パパ、聞いてる?」
「…あっ、いや……ごめん、聞いてなかったよ。どうしたって?」
「もう、ちゃんと聞いてないとダメですよ?」
「…うん、分かったよ。次はちゃんと聞くから」
そう、背伸びして物を言う娘の頭を、父親の様に優しく撫でる。
それに対して、気持ち良さそうに頭を擦り寄せてくる愛娘。
……癒されるなぁ。
仕事で疲れて帰ってきたサラリーマンが、我が子の顔を見て疲れが吹っ飛んでいく様な感じだ。
まぁ、俺ももう前世も入れたら三十路近
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