あくる日の黄昏
第一話
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でも屋としての側面を持つ。
(…やっぱり、二人の夢は武偵になる事か)
未来系としての二人を知っているが故に、特に驚きはそこにはなかった。
驚くべき所は、その次に文が発した言葉の方だ。
「私達も武偵を目指すから、中学校も一緒だね“時夜”くん。」
……あれっ?
その言葉に不意に、一抹の疑問が頭を過った。
俺は今まで、身内以外に対して武偵を目指している事を口にした事などない。
「…俺が武偵を目指している事、文達に話した事あったっけ?」
「ううん、時夜くんからはないよ」
俺の問い掛けに対して、やんわりと首を横に振る亮。
やはり、身内の誰かが洩らしたのだろうか?そこに別に不平不満はない。
だが、軽い気持ちで殺し殺されの、命を奪い、奪われるかもしれない世界に足を踏み込んで欲しくなかった。
そう思って、俺は今まで身内以外に対して夢を語る事はなかった。
「幼稚園の時に、時夜くんが昏睡状態になった時があったじゃない?その時に、時夜くんのお父さんに聞いたの」
「…お父さんがか」
確かに、俺が昏睡状態に陥った事が過去にあった。
小学校に上がる前の、幼稚園の年中の時の事。今から、三年程前の出来事だ。
何故倒れたのかは未だに原因不明だ。
だがきっと、あの当時に見た夢が関わっている。俺の心の弱さの一端、前世の記憶だ。
けれど、それ以来は再発の兆しもなく、夢を見る事もなく、平穏に過ごせている。
それもこれも、俺を支えてくれているリアや皆のおかげだ。
……俺が眠りに就いている間に、そんな話をしていたのか。
「…まぁ、別に隠していた訳じゃないし、良いけどな。…とりあえず、課題の方は隠さずにそう書こうか」
二人に続く様に原稿用紙に今日の出された課題についての作文を書き始める。
そうして、課題を終えた頃には下校時間も推していたので、三人で何時もの様に学校を後にした。
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「…さて、やるべき事も終わったし、さっさと家に帰ろう。時間が余ったし、何かしようかな」
何時もの分帰路で文とも別れた時夜は、一人事の様にそう呟く。
頭上が茜色に染まる下、時夜は自身の髪を朱色に染め、微風に揺らしながら帰路に着いた。
既に季節は初夏と言ってもいい時期だ。東京は夕方だと言うのに、風が生温い。
『そうですね、時夜。せっかくですし、夕食前に軽く鍛錬をしましょう』
その呟きに答える女性の声が一つ、そこにはあった。
だが、少年の周りには誰も存在しない。声も、“時切”や“諧調”のものではない。
その声の発信源は首から下げられた一つのクリスタル状のネックレスと見紛う存在
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