暁 〜小説投稿サイト〜
緋弾のアリア-諧調の担い手-
after days
第三話
[1/4]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


時夜side
《自宅・外門》
AM:5時24分


「…それじゃあ、行ってくるね。お母さん?」


初夏前とは言え、朝靄が掛かった若干冷たさの残る気温の時間帯。
トレーニングウェアに身を包み、入念に準備運動をする。そうして、身体の不備を隅々まで確かめる。

…うん、不備はない。五体満足と言えるだろう。
そうして、背後へと振り返りそう告げた。

その背後に佇立するのは、自身にとってのもっとも身近な存在の一人。
時夜を見る、その顔色は未だに配そうな面持ちをしている。母親である倉橋時深の姿があった。


「…はい、ちゃんと気を付けて、無理はしないで下さいね」

「解ってるってば、心配症だなぁ」


“あの一件”以来、母の過保護には更なる拍車が掛かってしまった。正直言うと、少し煩わしい。
…まぁ、その事に関しては俺の心の弱さが原因であった為に、強くは言えないが。

……けれど、それだけ愛されているのだと実感する出来る。


『大丈夫ですよ時深、何かありましたら私が何とかしますので。時夜には絶対に指一本触れさせませんよ』


そう、俺の胸元に下げられた水晶が頼もしく女性の声を発する。
“機械水晶”イリス。俺がお父さんに貰った高性能な自我を持ったAIユニットだ。

基本的には俺の戦闘の補助が主な仕事だ。教育面や私生活でも活躍してくれているが。
今現在は、俺の存在マナと同期しての介護補助が仕事だ。

…まぁ、俺は病人ではないのだけど。周囲の人間は俺を未だに病人扱いする。

偶にイリスとは口煩くて喧嘩する事もあるけれど、それでも良好な関係を築けている。
……というか、こいつなら先の言葉を本当に実行しそうで怖い所だ。

まぁ、数日間昏睡状態に陥っていて、漸く外界に出る許可が出たのだ。
眠っていた間に鈍ってしまった身体を動かしたくてしょうがない。

ここ一週間程ずっと自宅の中で生活していて、一歩も外に出る事がなかった。
まぁ亮や文、ライカ達が来てくれていたから暇にはならなかったけれど。

幼稚園には来週の月曜日から再び通う事になっている。
あまり接点のない子らも心配していると、訪ねて来たクラスの先生が言っていた。


「じゃあ、行ってくる」


そう告げ、小走りに家の立派な和風造りの正門へと向かおうとしたが―――
それを止める様に、一報の声が耳に届いた。


「―――パパ!」


俺の事をそう呼ぶ、幼い少女の声が背後から聞こえてきた。
未だに、その呼び方には慣れない。その声は…ここ数日、新しく家族となった少女だ。


「……ソフィア?」


振り返ると、眠り眼を擦る碧銀色の髪をした同い年位の少女が家の玄関口に立っていた。
そのまま
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ