8章〜混迷の大地〜第99話
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なくてはな。―――で、お前さんたち。ラッセル博士から託された起死回生の策というのは何かね?」
アガットとジンの言葉を聞き、頷いたルグランはエステル達を見て尋ねた。
「起死回生というほど大げさなものじゃないけど……」
「ラッセル博士が、新発明の試作品を提供してくれたんです。」
〜昨夜・アルセイユ・作戦室〜
「―――これが試作品の『零力場発生器』じゃ。」
「零力場……発生器?」
博士が自分の目の前に出した装置の名前を聞いたエステルは首を傾げた。
「簡単に言うと、”ゴスペル”が発生させる特殊な波長の導力場……。それによる共鳴を相殺する力場を発生する回路というわけじゃ。」
「…………ちっとも簡単に聞こえないんですけど……」
「それはもしかして……『導力停止現象』を阻止できるということですか?」
博士の説明を聞いてもエステルは理解できなかった一方、ヨシュアは理解できたのか、ある事を尋ねた。
「ええっ!?」
「ほ、本当ですか!?」
ヨシュアの疑問を聞いた仲間達が驚いている中、エステルとユリアは驚いて尋ねた。
「うむ……その通りじゃ。結局、『導力停止現象』とは”ゴスペル”を通じてオーブメントの導力が吸収されるという現象じゃ。『何処へ』というのが謎じゃったがここへ至ってようやく明らかになった。」
「あの浮遊都市……”輝く環”ということですね。」
博士の説明を続けるようにクローゼが言った。
「うむ、その通りですわい。”輝く環”は、異次元から”ゴスペル”という穴を通じて『導力停止現象』を起こしていた。その穴は余りに小さかったため影響範囲は狭くてすんでいたが……。”輝く環”が解放されたことでその範囲は一気に広がってしまった。それこそ王国全土を巻き込んでしまうくらいにな。」
「王国全土……」
「それが今回の現象ですか……」
博士の説明を聞いたエステルは呆け、ヨシュアは真剣な表情をした。
「うむ、おそらく王国にあるありとあらゆるオーブメントが動かなくなってしまっているはず。じゃが、この『零力場発生器』は《環》の干渉を阻止できる働きがある。―――言い換えれば、これの側にあるオーブメントは問題なく動くということなんじゃ。」
「わぁ……!」
「す、凄いじゃない!」
「ヘッ、そいつを使えば万事オッケーってわけか。」
「そうですね。それがたくさんあれば国内の混乱も収まるんじゃないですか?」
博士の説明を聞いたティータ、エステル、アガット、リタは表情を明るくしたが、博士は難しい表情で説明をしだした。
「いや……そこまで都合は良くない。まず第一に、この試作品が守れる対象は限られておって
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