暁 〜小説投稿サイト〜
竜から妖精へ………
第12話 光
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
…。


『………………ふふふ。判る。何れは、また―――――』


 そう答えると、やがて、目の前の光は徐々に暗くなっていく。
 だが、まだマカロフは聞きたい事があった。


 光の正体もそうだが、それ以上にゼクトの事を――。

 離れていく光を、反射的に追いかけるマカロフ。


 走り、追い掛け――光へと手を伸ばした。

「………待てっ!」

 手を伸ばした先には何も無かった。いつのも、ギルドの執務室だった。

 光に手を伸ばした筈なのに、この部屋には光はない。まだ、太陽も顔を出さない時間帯。光など、有るはずもない。

 どこからが、夢でどこからが現実なのかもわからなかった。

「これは、魔法……?」

 マカロフは、空気中のエーテルナノ濃度を入念に調べてみるも、特に変わった事はない。

 いつも通り、何も変わってなかった。

「――一体、なんだったのか……」

 手を握り……そして開く。幻覚魔法の類を受けた形跡は全くなかった。それ以外にも、身体は全く問題ない。いや、問題と言うよりも、あれだけ酒を飲んだと言うのにも関わらず、清々しささえ感じ、調子がかなり良かった。

 ……あの光に包まれていた心地よさがあるからだ。

 言うなら、あの光は決して単なる夢ではない。
 あの大いなる存在は、言うならば母なる海の様な大らかささえ思えていた。

「あの子……、《ゼクト》を頼む……か」

 マカロフは、部屋を出て皆をみた。

 部屋の様子は変わってない。ただ、眠っているだけだった。笑顔を浮かべて。ゼクトは勿論、皆可愛い寝顔だった。

「…………わかっとるわい。言われなくとも……もうこの子は」

 ゼクトの顔を、見て決意を新たにした。



「――――もう、儂のガキなんじゃからな」

 






[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ