第12話 光
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…。
『………………ふふふ。判る。何れは、また―――――』
そう答えると、やがて、目の前の光は徐々に暗くなっていく。
だが、まだマカロフは聞きたい事があった。
光の正体もそうだが、それ以上にゼクトの事を――。
離れていく光を、反射的に追いかけるマカロフ。
走り、追い掛け――光へと手を伸ばした。
「………待てっ!」
手を伸ばした先には何も無かった。いつのも、ギルドの執務室だった。
光に手を伸ばした筈なのに、この部屋には光はない。まだ、太陽も顔を出さない時間帯。光など、有るはずもない。
どこからが、夢でどこからが現実なのかもわからなかった。
「これは、魔法……?」
マカロフは、空気中のエーテルナノ濃度を入念に調べてみるも、特に変わった事はない。
いつも通り、何も変わってなかった。
「――一体、なんだったのか……」
手を握り……そして開く。幻覚魔法の類を受けた形跡は全くなかった。それ以外にも、身体は全く問題ない。いや、問題と言うよりも、あれだけ酒を飲んだと言うのにも関わらず、清々しささえ感じ、調子がかなり良かった。
……あの光に包まれていた心地よさがあるからだ。
言うなら、あの光は決して単なる夢ではない。
あの大いなる存在は、言うならば母なる海の様な大らかささえ思えていた。
「あの子……、《ゼクト》を頼む……か」
マカロフは、部屋を出て皆をみた。
部屋の様子は変わってない。ただ、眠っているだけだった。笑顔を浮かべて。ゼクトは勿論、皆可愛い寝顔だった。
「…………わかっとるわい。言われなくとも……もうこの子は」
ゼクトの顔を、見て決意を新たにした。
「――――もう、儂のガキなんじゃからな」
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