第7話 キヅキ
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だったけど、きっとあれが無かったら凛ちゃんとこうして今みたいに仲良しでいられなかったと思うんだぁ。
だからこそ、私は知っているんだよ?もちろん春人くんも知っている。
得意なことは陸上だってこと、苦手なことはじっとしていること。
ラーメンが大好きだったり、お魚が大嫌いだったり。
女の子らしくいたいけど、それをあきらめてしまったことを。
凛ちゃんの悲しんでることも、辛いことも.....コンプレックスも私は知ってる。
そして。
────春人くんが大好きなんだって事も
知ってるけど、凛ちゃんはそのことを私たちに相談しないでずっと一人で抱え込んでるっていうことも実はわかるんだ。言いたくなくて胸の内にしまって、逃避を続けている凛ちゃんの弱くて脆い部分。
凛ちゃん。
凛ちゃんは可愛い女の子なの。私なんかよりずっと、ずっと可愛い女の子。だからね....私は凛ちゃんに思ってほしいの。
その悩みはいつか解決できる日がくるんじゃないかって。それはきっと私ではなく、春人くん。今は無理して克服して欲しいとは思わない。今の凛ちゃんも”凛ちゃん”だって思うから。
でも、もしその時が来たら私は凛ちゃんに変わってほしいな。私も傍で見守りながらその姿を見届けたいな。
私の中に仄かに灯る、淡く煌びやかな期待。
「ねぇ、凛ちゃん」
「なに?」
「......仲直り、しよ?春人くんと」
「..........」
「いつまでもこのままじゃ、ダメだと思うんだ」
すっと。顔を背ける。
私はそのまま話を続ける。
「私は三人一緒じゃなきゃ嫌なんだ。凛ちゃんが欠けても、春人くんが欠けてもダメなの。寂しいし不安で....それくらい、私の中で二人の事は大きな友達なんだ」
「りん....だって、三人じゃなきゃつまらないにゃ。りんにとって.....これからもずっと三人でいっぱい遊んだり思い出作ることが、りんの”夢”だから」
「夢?」
凛ちゃんの口からあまり聞かない言葉が出てきて私は聞き直す。
教室はまだ”廃校”という一つの話題が持ち上がっていてざわめきが止む気配がない。凛ちゃんはそれを気にしているみたいで途端に周りを警戒し始める。
だけど、すぐに凛ちゃんは私と距離を縮めて、少し頬を朱色に染めて言う。
「凛の”夢”はね。高校でも、成人を迎えてそれぞれの進路に向かうことになっても.....仲良しでいて、いつか三人で暮らすことなんだにゃ〜」
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