第7話 キヅキ
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指し示す。
そのまま黒板の方へ行ってクラスメートに巻き込まれながら隠れてしまった。しばらくして凛ちゃんの叫び声が聞こえ、とたとたと戻ってきた。
「にゃ、にゃあ......この学校なくなっちゃうのかにゃ?」
「うん....多分、この後の臨時全校集会で理事長からお話があると思うの....」
「そう、なんだ...」
まるで猫耳がしょぼんとしているように肩を落とし、その中で私の視界にちらりと何かが映り込む。
───それは先日私と凛ちゃん、そして春人くんの三人でゲームセンターで撮ったプリクラの一枚だった。スマホのカバーケースに大事そうに張られている。
それを見た私は少し安心しきった気持ちになった。
(やっぱり凛ちゃんは凛ちゃんだね....)
凛ちゃんは春人くんのことを嫌いになっているわけではないんだね。嫌いになってたらプリクラの写真を大事そうに持ってるわけない。
あのね、凛ちゃん
私はね、そんな凛ちゃんが大好きだよ。
優しくて明るく元気にみんなを引っ張ってくれる。喧嘩しても心から人を嫌いになれなくて、みんなのことが大好きで。そんな優しさがたくさん人を引き付けて好かれていく。
私にはそんなことはできなくていつも羨ましいなって思ってるんだよ?
すごいなぁって。輝いてるなぁって。
凛ちゃんと初めて出会ったのは小学三年生の時、初めてクラス替えして私の隣に来たのがきっかけだったよね。まだその時の私は寂しがり屋の恥ずかしがり屋で、春人くんとしかお喋りできなかったから凛ちゃんの周りに男の子女の子関係なく集まっている光景がいつも羨ましかったんだ。
私には、一生できないって思ってた。
『ねぇねぇ!すごくおえかきじょうずなんだね!かわいいにゃ〜!!」
初めて話したのは凛ちゃんが先で、私が当時夢中になってた『お絵かき』をしていた時だったね。見られるのが嫌で教室の隅で小さく丸まって絵を描いていて、凛ちゃんはそう話しかけてくれた。
恥ずかしかったけど、絵を褒められるのが嬉しくてつい舞い上がっちゃった。
『そ、そうかな.....ありがとう』
『おなまえおしえてよ!』
『ふぇ?え、えっと...こいずみ...はなよ..です』
『じゃあ.....きょうからりん”かよちん”ってよぶにゃ。りんのことは”りん”ってよんでほしいにゃ!』
『ふぇ!?ちょ、ちょっと────』
『いつもきょうしつでひとりであそぶなんてつまらない!おそといっくにゃーーーー!!』
いきなり話しかけられて、自己紹介して、あだ名をつけられてあっという間に手を引っ張られて外へ連れていかれる。
すごく強引
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