ツバサ 0
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けてきた。
「あの〜」
ファンの子だろうか、いやいや、さすがにそれは傲慢すぎる。
きっとこの子もジュースを買いに来たに違いない。
私は自分の五百円は諦める事にして、同じ目にこの子が遭わないように状況を説明することにした。
「あぁ、ごめんなさい。あなたもジュース買いに来たのかしら?残念だけどこれ壊れ
「知ってますよ」
「え?」
意外な返答に、私は思わず上ずった声を出してしまう。
肩にかかるぐらいのセミロングで栗毛色をした髪。化粧こそしていないが、誰が見ても一目で美少女だとわかる女の子。
見た目でいえば、あんじゅや英玲奈も十分に可愛いが、この子もなかなかだなと思わず見入ってしまう。
よく見ると、この地域にあるお嬢様学校でかなりの伝統校の制服を着ていた。中学までのエスカレーター式の学校で、うちの学校にもそこの卒業生が何人もいる。
「この自販機って、時々お金呑まれちゃうんですよねぇ」
お嬢様学校の制服を着てはいるが、一般的なお嬢様というイメージとは少し離れているような雰囲気。
どこか活発で、溌溂とした物言いは、むしろ好印象だった。
「ちなみにいくら呑まれたんですか?」
「え?あぁ、五百円」
「じゃあ五本かぁ。わかりました、私がご馳走しますよ」
「え?いやいや悪いわよ。あったばかりでそんな、それに五本だなんて、ジュース一本百二十円でしょ?あなたが損しちゃうじゃない」
「まぁ見ててくださいって。あ、種類の保証は出来ませんけどね」
悪戯っぽく笑うと、その子は自販機の右側の側面に立ち、半歩ほど距離を取った。
嫌な予感しかしない。
私は慌ててその子を止めることにした。
「あの、ホントに大じょ
「これはこうすれば良いんです…よっ!!」
ドガン!と大きな音が鳴る。
女の子の蹴り上げた足が、自販機に直撃した音だ。
同時に、販売口からジュースがいくつか出てきた。
……量が尋常じゃない。
「うし、今日も大量大量っと」
その子は自販機の隣のベンチに、先ほど大量に出てきたジュースを積み上げていく。
ただ見ているのもなんだったので、私も手伝うことにした。
「あなた、凄いわね」
「あはは、なんか困ってるみたいだったし。私も丁度喉が渇いてたんで」
「いつもこんな事してるの?」
「うぐっ、い、いつもはここんな事しないですよぉ」
……どうやら常習犯のようだ。
とはいえ、元は取り返したし面白いものも見れた。これ以上追及するのは野暮というものだろう。
私は改めて女の子に向き直った。
「助かったわ、ありがとう。私
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