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【ネタ】キュウべえがエントロピー問題を解消するようです
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使用すればいい。理論上はこれで完璧だ」
「これが完成すれば、ぼくたちの役割も終わるね」
「いいや、このシステムの防人としての役割が待っている」
「ところで……実験に地球の人間を立ち合わせるって聞いたけど、それはどうしてだい?」
「ああ……もしもカドモニで事象変異を起こせなかった時の事を考えて、ね。それにゾハルは地球にあったんだ。地球人にはぼくたちでは感知できない何かをゾハルから受け取るかもしれない」

 これで宇宙が救われる。そう考えるとさしものキュウべえも感慨という名の感情を理解する。

 実験に立ち会う少年――鹿目タツヤは、デウスがよほど珍しいのか釘付けになっている。彼が立会に選ばれた理由は、単純に地球で魔法少女をしている鹿目まどかから許可を貰ったからに過ぎない。彼女ももう魔女と戦わなくてもいいかもしれない事を知ると、「そんなスゴイことに立ち会えるのなら」と許可を出した。
 そして当のまどかは……『生体電脳カドモニ』としての改造を施され、ゾハルに組み込まれている。カドモニの材料として様々な素材が考えられたが、結局はソウルジェムの輝きがあるかぎり不死身である魔法少女が素体の第一候補に挙がった。理論上はソウルジェムの濁りもゾハルが吸収するため、魔女化の心配もない。使命感の強い彼女は、実験にあっさりと同意してくれた。

 そして、実験が開始された。

 それが、始まりの終わりで、終わりの始まりだとも知らず。
 皮肉にも、感情を排除したことで高度な生命体になったインキュベーターの予想もつかない形でシステムは暴走した。それは言うならば、まどかの残留思念とも呼べる、強すぎる想いが起こした悲劇だった。

「どういうことだ、こんな命令は入力していないよ」
「カドモニだ。カドモニの生体素子とフラーレン素子が自己判断で最も効率のいいエネルギー抽出方法を選んだんだ」
「わけがわからないよ。なぜこちらの命令を遮断しているんだい?」
「向こうはこの方法が最も効率がいいと判断したんだ。人間特有の……『よかれと思って』という奴だろう」
「しかし――では、素体になった鹿目まどかの思念が結論を歪めたというのかい?」
「確率が低い事象であればあるほどエネルギーは得られる。だが――よりにもよって最初から『確率ゼロの事象』なんてメチャクチャだ」

 世界があり得ない方向にねじ曲がる、「存在しない筈の事象」。
 事象変異の究極系、世界の改変、エントロピーを凌駕した願望がゾハルの波動を強める。
 無限に近いエネルギーが荒れ狂い、デウスシステムがキュウべえのコントロールを離れる。


「セフィロートの道が、開く。高次元が、世界に流入する」

《鹿目まどか。お前は何を望み、わたしを波動の場より引きずり降ろした》

『タッくんに………タッく
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