第8話 唐突な始まり
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僕も辛くなって差し出されたお茶に口をつける。
時間が経って冷えたお茶を下で転がしてからゆっくり流し込む。
花陽と凛が辛い思いをしている。
....わかっている。なんとかしなければいけないのは嫌というほど感じている。だけど、今回の案件は今までのなかで一番大きくて、そして一般生徒で他校の人間が関わっていいのか非常に難しいところなんだ。いくら僕がお馬鹿な人間でも自分の立場くらい理解できている。音ノ木坂のとって赤に他人である僕が関わっていい話じゃない。
それはわかってる。わかってるけど......。
「......」
「...なんか寂しいにゃ〜。入ってすぐ”廃校”だなんて。りん、後輩ができないまま卒業なんてしたくないにゃ」
二人がこんな顔してるのに黙って指を咥えて見ているなんで僕にはできない。
花陽が音ノ木坂に入りたいって、凛が花陽と同じ高校に行きたいって、僕は二人が三年間笑って過ごせる高校に行ってほしいって。
受験生になって毎日遅くまで勉強した結果が報われたと思っていたのに。
それを踏みにじるかのように”廃校”の話題は現れた。
なにか、なにか解決策はないのだろうか。
そんな時、キッチンの方からチンッ!っと、機械音が聞こえてきた。オーブンが何かを焼き終えた音のようだ。
「花陽ちゃん何か作ってたの?」
「うん、この前クッキー作るつもりだったんだけど色々あってできなかったから今日作ろうと思って」
「焼けたの!?りん食べたいにゃ〜!」
クッキーが焼けたことで重苦しい空気から解放され、彼女たちは立ち上がってオーブンのところへ向かう。
────さっき部屋に入ったら甘い匂いしたけど、クッキーだったんだね。
とかぼんやり考えながら僕はもう一口冷たいお茶を飲む。
〜☆〜
あの後も一時間ほど話し合ったけど、何も進展しないまま時間が経つだけだった。取りあえず何か高校の方でアクションが起こるまで、または新たな情報を得るまで普通に高校生活を送るという意見で決まり、花陽の家を出ることにした。
玄関で靴を履いているところで花陽に声をかけられる。
「どうしたの?僕何か忘れ物した?」
「ううん、違うよ。これを渡したくて.....」
そう言って差し出されたのは綺麗にラッピングされた小さな小袋。
中身は先ほど食べたクッキーのようだ。
「これ、もらっていいの?」
「うん♪春人くんに食べてほしいな?なんて.....」
上目遣いでかなり可愛
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