第121話
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
〜隠者の庭園〜
「リース!おい、リースってば!」
リースを追って行ったケビンはリースの名を呼びながら歩き続けているリースに走って近づいた。
「……………………………」
「なあ………なに怒ってんのや?あ、そっか………さすがにお前の知らへん連中ばっかやもんな。なのにオレだけ盛り上がって………少し無神経やったかもしれん。………本当にスマン、謝るわ。」
「……………………………まだ誤魔化すの?」
謝罪してくるケビンにリースは何も答えず、ある程度歩くと立ち止まり、ケビンに背を向けたまま尋ねた。
「へ…………」
「確かに………私が少しだけ疎外感を感じていたのも事実。さすが、例の事件で一緒に危機を乗り越えてきた仲間なだけはあるって思った。」
「はは………まあ、色々とあったしな。」
「正直………寂しかったし、羨ましかった。この5年間、ケビンはずっと私のことを避けていたから…………………私の知らないところで仲間を作っているケビンを見てほんの少しだけ………哀しかった。」
「リース………」
寂しげな雰囲気を纏わせて語るリースにケビンは返す言葉がなかった。
「でも………それでもいいと思った。あの日、姉様があんな事になってケビンは傷ついていたから………自分を責めて、追い込んで汚れた仕事ばかり引き受けて………擦り切れそうになっているのが噂で聞いてもわかったから………だから………気を許せる仲間ができたことは寂しかったけど、嬉しくもあった。」
「リース、あのな――」
リースの話を聞いたケビンは溜息を吐いた後話そうとしたがリースの続きの言葉を聞いて驚いて口を閉じた。そしてリースは振り返って真剣な表情でケビンを見つめて更に話を続けた。
「ケビンは………あそこにいる誰に対しても気を許したりはしていない。心が冷め切っているのに表面だけ調子を合わせてるだけ。感情を完璧にコントロールして気さくな人間のフリをしてるだけ。しばらく見ててやっとわかった。」
「……………………………はは、そりゃまた妙な心配をされたもんやな。悪いけど、オレはそこまで器用やあらへんで。嬉しい時は嬉しいし、怒りだってそう抑えられへん。お前も昔から知ってる見たまんまのわかりやすい男や。」
リースの説明を聞いたケビンは呆けて黙った後、いつもの陽気な様子で答えた。
「確かに………”影の王”の言葉には本気で動揺してたみたいだね?」
「……………っ………………」
しかしリースの言葉を聞くと表情を一変させ、辛そうな表情でリースから目を逸らした。
「ケビンは気付いている………あの人たちが何を言ってるのかを。なのに他の人にはわからないフリをしている。ううん………ひょっとして自分自身にも。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ