第90話(6章終了)
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こえてきた。
「おや、君たちは……」
声に気付いたオリビエが振り向くと、そこには息を切らせているドロシーとナイアルがいた。
「ああ、行っちゃった……」
「ぜいぜい……ま、間に合わなかったか。」
飛び立つアルセイユを見たドロシーとナイアルは肩を落とした。
「どうしたんだい、記者諸君?また竜事件のように乗り込むつもりだったのかな?」
「ああ、それとヨシュアが帰ってきたって聞いたんでな。まあいい、ドロシー。急いで”アルセイユ”を撮れ!望遠レンズを使えばそこそこ使える画が撮れるだろ。」
「アイアイサー!」
「フフ……」
ドロシー達の様子を見て、口元に笑みを浮かべたオリビエはその場を静かに去った。
「……挨拶は済んだのか?」
発着場の出口に着くと、ミュラーが待っていた。
「フッ、一応ね。そちらの準備はどうだい?」
ミュラーに尋ねられたオリビエは頷いた後、尋ねた。
「叔父上の方は何とかなった。宰相閣下も、むしろ好都合だと判断されたようだ。」
「確かにあの人なら王国人受けしそうだからね。フフ……楽しくなりそうだ。」
「まったく……何という悪趣味なヤツだ。彼らの驚愕した表情が今から目に浮かぶようだぞ。」
口元に笑みを浮かべているオリビエにミュラーは呆れた表情で呟いた。
「ハッハッハッ。まさにそれが狙いだからね。」
ミュラーの呟きに笑って答えたオリビエは空を見上げた。
(今度、相見えた時にはお互い敵同士というわけだ。くれぐれも”結社”ごときに遅れを取らないでくれたまえよ。)
そしてアルセイユは”翡翠の塔”に向かって行った………
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