第86話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
〜グランセル城・謁見の間〜
「あ……」
「父さん……」
「お祖父ちゃん………」
カシウスに気づいたエステル、ヨシュア、ミントはカシウスを見た。
「カシウス殿、ご苦労様でした。」
「各方面への指示は完了したのか?」
「ええ、先ほど終わらせてこちらの方へ飛んできました。そこで少々、父親としての義務を果たそうと思いまして。」
「え……」
女王とモルガンの言葉に頷いたカシウスはヨシュアに近づいた。カシウスの言葉を聞いたエステルは呆けた声を出した。
「……昨日、通信で話したが実際に顔を合わせるのは久々だな。」
「うん……そうだね。……ごめん。心配をかけてしまって。」
自分を見つめて静かに語るカシウスにヨシュアは静かに頷いて答えた。
「お前の誓いを知っていた以上、俺も共犯みたいなものさ。謝る必要はないが……義務は果たさせてもらうぞ。」
そしてカシウスはヨシュアの頬を叩いた!
「「っ……」」
「きゃっ……」
「ちょ、ちょっと父さん!?」
カシウスの行動にミントとティータ、クローゼは驚き、エステルはカシウスを睨んで責めたが
「……いいんだ、エステル。家出息子には……当然のお仕置きだからね。」
「そういうことだ。思っていた以上に皆に心配をかけていたこと……ようやく実感できたようだな?」
ヨシュアは叩かれた頬を手で抑えて静かに語り、カシウスは頷いた後、ヨシュアを見て尋ねた。
「……うん。僕なんかのために―――なんて思ったら駄目なんだよね。」
「ああ……。人は様々なものに影響を受けながら生きていく存在だ。逆に生きているだけで様々なものに影響を与えていく。それこそが『縁』であり―――『縁』は深まれば『絆』となる。」
「……『絆』……」
「そして、一度結ばれた『絆』は決して途切れることがないものだ。遠く離れようと、立場を違えようと何らかの形で存在し続ける……。その強さ、思い知っただろう?」
ある言葉を聞いて呆けているヨシュアにカシウスは説明し、そして笑顔を見せて尋ねた。
「うん……正直侮っていた。確かに僕は……何も見えてなかったみたいだ。」
「ヨシュア……」
「フフ、それが見えたのなら家出した甲斐もあっただろう。」
そしてカシウスはヨシュアを抱き締めた。
「ヨシュア……この馬鹿息子め。本当によく帰ってきたな。」
「お祖父ちゃん……」
「フッ、親馬鹿が……」
「ふふ……本当に良かった。」
ヨシュアを抱き締め、安堵の表情で語るカシウスを見て、ミントは微笑み、モルガンは口元に笑みを浮かべ、女王は微笑ましそうに見ていた。
(フフ………私が知らない内にた
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ