第13話『加入』
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
柊君がクラスに来てから3日が経った。
未だに女子にチヤホヤされているが、彼はそれにも慣れたようで、接し方を学んだようだった。
その一方で、相変わらず男子が羨ましそうにその様子を眺めているが、今のところ何かが起きそうな雰囲気はない。
「狐太郎くーん、一緒に帰ろう!」
「あ、ずるい! 私もー!」
「は、はい。良いですよ」
こんな様子ももう日常茶飯事だ。
まだ少し怯えているようにも見えるが、この調子なら大丈夫だろう。これで柊君の問題は片づいた。
だが、俺にはまだ課題があった。暁君のことだ。
俺はまだ彼と話したことがないし、彼もまた誰かと話している様子もない。いつも窓の外を眺めていたり、教科書を読んだりしているのだ。
真面目、という言葉で表現しようにも、あまりに人との関わりが少なすぎる。
俺は柊君と友達になった以来、コミュ障が治ってきたのでは、と感じていた。たぶんそれは妄想ではない。もう俺は気軽に人と話せるんだ。だからこそ、暁君とも友達になりたい。
彼は近寄りがたい雰囲気を出しているが、今の俺ならきっと話し掛けれる!
「・・・ということを考えているんだけど」
「大丈夫だろ、普通に」
「そうだよなそうだよな!」
大地の反応に思わず嬉しくなる。
ちなみに今は下校中である。もちろん莉奈も居るので3人で帰っている。
「遂に晴登がコミュ障脱出か〜!」
「お前の魅力が1つ減ったな」
「え!? アレ魅力だったの!?」
他愛もない…はずの会話をする。
「でも難易度高いんじゃない? すごく堅物そうじゃん」
「話してみないとわかんないだろ」
「うんうん」
「てかさ、昨日のテレビドラマ見た?」
「え、見てないけど・・・」
話はいつの間にか、暁君のことから昨日のドラマに変わってしまった。
*
翌日になり、昼休みを迎えた。
「さて。昨日…どころか今まで忘れていたが、今日は暁君に話しかけよう! 大地だって大丈夫と言ってくれたし!」
俺は危うくだが、目的を思い出していた。
暁君との交流。そうすれば、このクラスとは全員馴染んだことになる。よし、やるぞ!
──でもどこだ? 昼休みなのに教室にいないな…。ちょっと周りに訊くか。
「暁? さっき教室から出てったのは見たぜ」
「先生に連れて行かれなかった?」
「何かやらかしたんじゃねーの?」
…さて。情報は集まった。感謝する皆よ。
先生に連れて行かれた、ということは職員室だろう。にしても、どうして連れて行かれたんだ? 暁君は悪いことをしなそうだけど…。
とりあえず行ってみるか。
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ