第10章 エル・ファシル掃討作戦 後編 B
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等しかった。
前方2ブロック先で帝国軍は第5戦車中隊の生き残り兵士を叩き潰そうと躍起になっていた。
一気に片づけることが肝要であったので私は第2小隊の援護射撃下での白兵戦でかたをつけるべく実行を命じた。
第1・3・5小隊が1ブロック手前まで来て帝国軍へ第2小隊が援護射撃を開始した。
私はその瞬間に全速力で帝国軍兵士約1個小隊ほどへ突っ走った。
前方にライフルを打つことで精いっぱいな兵士たちはローゼンリッターの無慈悲な攻撃で数分と掛からず全滅した。
私は第5戦車中隊の隊員たちに
「我々はローゼンリッター連隊だ!
救援に来た!
今からそちらに向かうから、撃たないでくれ!」
と言って近づいて行った。
黒煙のなかを歩くと破壊された戦車が幾両もあった。
同盟軍のもあれば帝国軍のもあった。
そして、私はそれをみて唖然とした。
その光景は想像を絶するものだった。
死体が一列に並んでおり、どの死体も処刑形式に頭部を撃ち抜かれていた。
私はその光景の中にルブルック大尉がいるのではないかと一瞬思わずにはいられなかった。
その信じたくもない予測を振り払って生き残った3名の同盟軍兵士のもとへ急いだ。
結果としてその生き残った兵士は第5戦車中隊員であったがその中にあの陽気な顔をしたルブルック大尉はいなかった。
生き残った兵士は小隊長のカレン・ヨハスン少尉、戦車操縦手のグレッグ・バークレー軍曹、同じく戦車操縦手のマック・ケイン軍曹の3名であった。
カレン少尉は私の士官学校同期で勉強はあまりできなかったが武勲多き士官であった。
少尉から第5戦車中隊の状況とルブルック大尉のことを聞いた。
少尉から聞かされたことは第5戦車中隊の圧倒的不利な中での戦いであった。
第5戦車中隊は本来なら市街地で戦うための機動戦車を装備しておらず、この地区での苦戦を強いられるのは必然のことであった。
しかも、師団上層部の意向で歩兵と戦車を合体させた部隊編成を強いられたため戦車特有の機動力はほぼ皆無といってよかった。
これは第20機甲師団の師団長がジョンソン・ダールキスト准将であったことが原因であった。
第20機甲師団の師団長は生粋の戦車乗りであるコーネル・シングルス中将であったが2月にエル・ファシル到着直後、第9次増派部隊の第18空中強襲師団を基幹として第7・8次増派部隊の第12機甲師団、第21空挺強襲旅団、第199予備役軽歩兵旅団そして、第1山岳師団で構成される東部大陸方面軍司令官に任命されたためそちらへ大将昇進とともに転出してしまったのだった。
自然の成り行きとして当然副司令官であったジョナサン・マッケンジー少将が師団長になったが、少将は3月に行われたカルケドン掃討作戦で戦死してしまった。
そこで、師団長に昇格したのが師団参謀長であったダールキスト准
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