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ローゼンリッター回想録 〜血塗られた薔薇と青春〜
第10章 エル・ファシル掃討作戦 後編 B
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ださい」
と今にも途切れそうな声で話してきた。
こんなところで固まっていたら、ロケット弾が飛んできて一瞬のうちに吹き飛ばされることは明白であったので迷っている暇はなかった。
私はパイロットのカレン・コーネル中尉と兵器管制士官のマーク・シュトナー少尉を保護してここから一気に離脱を図ることにしようとした。
しかし、部下に命令する言葉が心なしか詰まった。
私はこの時初めて判断に迷った。
アレン1等兵を見捨てておいていくべきか
それとも、死傷者を出してでも救出するべきか
はたまた、装甲車部隊を待つのか
私は防御プラスチックを跳ね上げてもう一回アレン1等兵を見る。
負傷の痛みからなのか、おいて行かれることが分かっているからなのか、そのあどけなさの残る顔には涙が浮かんでいた。
その時だった。
やはり戦争、人間とははかないものである。
アレン1等兵の心臓を流れ弾なのかそれとも狙い定めた1発だったのかは不明だが1筋のレーザーが貫通するのが見えた。
私は驚きでトマホークを落としてしまった。
ヘッドセットから
「中隊長!
次のご命令を!」
とクレメンツ予備役中尉のせかす声が聞こえてきた。
予備役中尉に
「これより撤退する。援護射撃を行ってくれ。」
と言って道を思いっきり400mほど迂回して撤退する。少し遠くには1等兵の遺体が転がっていた。
自分の力量不足でまた部下を一人失ってしまった。
我々はその後、最初に確保した陣地で銃撃戦を繰り広げたのち狙撃偵察小隊長のエミール・レイ曹長が指揮する装甲車隊に拾われて撤退した。
アレン1等兵の遺体は何とか回収することができたが、流れ弾や銃火でかなり損傷した状態であった。

装甲車で包囲網を突破するのはそう難しいことではなかった。
帰還途中に同盟軍は思わぬ苦戦を強いられていた。
第121装甲白兵戦大隊は相次ぐ白兵戦と銃撃戦で戦力を3割近く消耗しており、第5戦車中隊は砲弾や機関銃弾が不足してきており、無理な節約を強いられていた。
我々はからの側面援護に回るために44ブロックに急行するように言われた。
この際、総司令部は予備兵力を投入することを決定しローゼンリッター連隊が投入されたことは言うまでもなかった。
連隊は
我々第3中隊は44ブロック
ブルームハルト大尉指揮下の第2中隊は45ブロック
アーロン少佐指揮下の第1中隊は48ブロック
デアデッケン大尉指揮下の第4中隊は49ブロック
そして、シェーンコップ中佐直轄の連隊第1戦車隊を基幹とする装甲強襲大隊は22から28ブロック
から侵入し敵に平面攻撃をかけ、第5戦車中隊の救出および地区掃討を目的とした。
作戦を立案したのはヴァーンシャッフェ大佐と私やブルームハルト大尉、デアデッケン大尉、アーロン少佐の指揮する中隊の上級部隊であ
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